2008 Fiscal Year Annual Research Report
新構造のリンイリド含有共役複素環の構築とリン含有π電子系機能分子開発への応用
Project/Area Number |
20550046
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
林 実 Ehime University, 理工学研究科, 准教授 (20272403)
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Keywords | 合成化学 / 複素環 / 共役系 / リン / ホスホール |
Research Abstract |
リンを含む複素環π電子系化合物の研究は少なく,最近になってようやく注目されつつある。本研究では,まず5価リン原子を複素環π電子系に含むこれまでにほとんど知られていない基本骨格を持つホスホール類縁体(λ^5-ホスホール類)を対象として,その選択的な合成法確立を目指した検討を行った。計画の内,3-オキソ-λ^5-ホスホール類の合成法として以下の3種類の方法{(1)アルケニルホスフィンと電子不足アルキンの付加環化反応,(2)置換ホスフィノ酢酸エステルと電子不足アルキンの付加環化反応,(3)リンイリドの分子内環化反応}について検討し,いずれも多様な置換基を導入した誘導体を選択的に収率良く合成できる方法として確立することができた。特にベンゾ縮環型ホスホールについては,2-ホスフィノ安恩、香酸メチルとハロゲン化アルキルから調製されるホスホニウム塩の加熱あるいは塩基処理によって極めて簡便に収率良く得られ,様々な置換基を有する3-オキソ-λ^5-ベンゾホスホールを合成できるようになった。また、縮環ベンゼン環上に臭素置換基を有するホスホールは、Pd触媒カップリング反応を行い、様々な化合物への誘導を行うこともできた。さらにこのベンゾホスホールのベンゼン環上さまざまな位置に各種置換基を有する縮環型、ナフタレン縮環型、及びヘテロ芳香族縮環型ホスホール誘導体の合成についても検討した。こうして得られたホスホールには,可視吸収や蛍光を示すものもあり,ホスホール特有の物性についても興味が持たれるところである。一方,計画の内2つめの課題であった2位エキソメチレン置換型共役ホスホールについては,現在のところ有効な合成法の確立に至っていないが,別途アルケニルホスフィンを与える触媒反応を見出しており,今後この触媒反応を応用することで一般的な2-エキソメチレンホスホールの合成法が確立できるため検討する予定である。
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