2009 Fiscal Year Annual Research Report
新構造のリンイリド含有共役複素環の構築とリン含有π電子系機能分子開発への応用
Project/Area Number |
20550046
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
林 実 Ehime University, 理工学研究科, 准教授 (20272403)
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Keywords | 合成化学 / 複素環 / 共役系 / リン / ホスホール |
Research Abstract |
リンを含む複素環π電子系化合物の研究は少なく,最近になってようやく注目されつつある。本研究では,まず5価リン原子を複素環π電子系に含むこれまでにほとんど知られていない基本骨格を持つホスホール類縁体(λ^5-ホスホール類)を対象として,その選択的な合成法確立を目指した検討を行い,3-オキソ-λ^5-ホスホール類の合成法として3種類の方法{(1)アルケニルホスフィンと電子不足アルキンの付加環化反応,(2)ホスフィノ酢酸エステルと電子不足アルキンの加環化反応,(3)リンイリドの分子内環化反応}を確立した。これにより多様な置換基を持つホスホール類を得ることができ,その構造と物性の相関についての検討を行うことができた。様々な置換基と基本骨格の組み合わせを持つ数十種類の化合物を合成して検討した結果,置換基の種類によって吸収波長を可視光領域全般にわたる400nm台から800nm台まで,すなわち色調を連続的かつ柔軟に調整できることを明らかにすることが出来た。また,縮環型ホスホールについては,その多くが蛍光性を示し,置換様式によって蛍光波長をある程度調整できることも明らかにすることができた。 今後は,これらの知見を活かして,化学応答性や電気応答性を有する機能性色素の分子設計と開発を行う予定である。 また,本研究の検討過程で新たに別のリンイリド含有共役複素環が生成することを偶然発見したため,この新規な複素環についても別途合成方法及び物性について検討を行う予定である。
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