2009 Fiscal Year Annual Research Report
炭素配位子のみからなる新規4および6価有機16族元素化合物の創製と性質の解明
Project/Area Number |
20550050
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
箕浦 真生 Kitasato University, 理学部, 准教授 (30274046)
|
Keywords | 16族元素 / テルル / 超原子価化合物 / X線結晶構造解析 / オニウム塩 / 有機金属 / 色素 |
Research Abstract |
第三周期以降の16族元素(Ch=S,Se,Te)は、通常の2価の他に4価、6価を有し得るため、化合物群の多様性の観点から興味が持たれている。しかし、いわゆる超原子価化合物として、炭素配位子のみからなる4本の化学結合を有する化合物群(R_4Ch)は熱や空気・酸素等に不安定であり、限られた系でしか性質や構造が明らかになっていない。昨年度の研究で極めて高純度の有機金属試薬を用い、注意深く合成条件を探ることで、電子供与性置換基を有するテトラアリールテルル化合物を合成、単離出来ることが明らかとなった。今年度は引き続き、様々な置換基を導入した超原子価有機テルル化合物の合成開発を行った。テルル上の芳香族現のパラ位にジメチルアミノ基を導入したテトラアリールテルルは熱的に極めて不安定であったが、各種スペクトルデータにより構造決定をおこなった。この化合物のクロロホルムによる加溶媒分解生成物であるトリスジメチルアミノフエニルテルロニウムクロリドは、対アニオンをトリフラートやボラートなどの配位性の弱いものに変更することで、青色から緑色に呈色することがわかった。従来の16族元素オニウム種が無色または淡黄色であることとは全く異なっており、高周期オニウム種が強い呈色を示す初めての例である。新しく発見された窒素置換基を有するテルロニウム化合物はいずれもX線結晶構造解析によりその構造を確定し、固体中でカチオンーアニオン間が十分に離れていることが判明した。クリスタルバイオレットの炭素オニウム塩のテルロニウム類似体と見なすことができ、機能性色素としてとしての可能性を秘めていると考えられる。現在はこの呈色現象の理論的解釈と関連化合物の実験的合成を進めている。また中性の6および4価有機テルル化合物の合成研究も並行しておこなっているところである。
|
Research Products
(7 results)