2010 Fiscal Year Annual Research Report
炭素配位子のみからなる新規4および6価有機16族元素化合物の創製と性質の解明
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20550050
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
箕浦 真生 北里大学, 理学部, 准教授 (30274046)
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Keywords | テルル / 超原子価化合物 / X線結晶構造解析 / クロスカップリング / オクタヘドラル / 分子構築 |
Research Abstract |
我々はこれまでの研究で、炭素配位子のみからなる6価超原子価有機テルル化合物がテルルを中心とするオクタヘドラル構造を有しており、極めて高い安定性をもっていることを明らかにしてきた。今年度は、ヘキサフェニルテルルPh_6Teを母核とする、分子構築ユニットの開発を行なった。6価超原子価有機テルル化合物を用いることで、テルル原子上ではなくその置換基上での反応が可能となり、オクタヘドラル構造を保ったままの分子変換を行なうことが出来るようになった。 官能基化可能な超原子価化合物として(4-BrC_6H_4)Ph_5Teを選び、これまでに我々が開発した方法を基盤として、対応するPh_5Te+(C_6F_5)4B-と4-BrC_6H_4Liの反応によりこれを合成した。このブロモ体を出発物質とし、リチオ化を行なうと、芳香環上でのみ反応が起きた。通常の有機テルル(II,IV)化合物では、テルル上での反応が進行する点で全く異なっており、6価テルル-炭素結合は化学的に安定であることを実証した。次に、この芳香環上を官能基化し、テルルを中心とする90度に直交する結合を官能基配列制御に活用する検討を行った。リチオ化後、ヨウ素化反応またはジメチルホルムアミドとの反応では、それぞれ対応するヨード体およびホルミル体を与えた。次にブロモ体とトリブチルスタンニルチオフェンとの反応ではパラジウム触媒下でカップリング反応が進行し、対応するチエニル体が得られた。また、リチオ化後トリブチルスタンニルクロリドとの反応によりブチルスズ基を芳香族環上に導入出来ることが分かった。これら芳香環上にさらなる機能性官能基を導入可能な、重要な出発原料となる一連の典型元素オクタヘドラル化合物群の合成単離に成功した。
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