2008 Fiscal Year Annual Research Report
水素結合と電荷移動相互作用に基づく純有機分子性金属の開発
Project/Area Number |
20550051
|
Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
中筋 一弘 Fukui University of Technology, 工学部, 教授 (60028230)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 靖 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (70230133)
|
Keywords | 水素結合 / 電荷移動 / 分子性金属 / ドナー / プロトン |
Research Abstract |
共役π電子系を有する有機化合物は、有機電導体や有機磁性体などの機能性物質の構成成分として重要な物質群である。我々は、水素結合と電荷移動(CT)が連動して相互作用する分子システムに着目し、水素結合型CT錯体を基盤とした純有機物分子性金属や、水素結合とCT相互作用の連動性の化学的制御を基盤にした特異な物性、高次な機能性を有する物質開発を目指した研究を行ってきた。今回は、核酸塩基であるシトシンやグアニンをTTFに結合させたTTF-CおよびTTF-G誘導体を、交叉カップリング法を鍵ステップとして合成した。シトシン置換体の合成は、ニトロフェノール基で保護した1-ブチル-5-ヨードウラシルとTTFのトリアルキルスズ置換体との交叉カップリング反応を行い、その後アンモニアを作用させてアミノ基で置換することにより合成した。また、ウラシル置換体からメシル保護、アミノ基置換を経る1段階の反応手法でも合成に成功した。一方、グアニン置換体は、 TTFのトリブチルスズ置換体とリボース基で保護したグアニン誘導体のヨード体とのカップリング反応を行うことで合成した。サイクリックボルタンメトリーの測定を行った結果、TTF-Cの電子ドナー性はTTF自身と比べるとわずかに低下しているものの、CT錯体を作製するのには十分な能力を有していることがわかった。様々な電子アクセプター分子と溶液中で混合することにより得られた錯体の中で、TTF-CとTCNQからなる錯体は、分子間の電子遷移に帰属される吸収を約3000cm^<-1>の低エネルギー領域に示した。加圧形成ペレットを用いた電気伝導度測定では、室温で10^<-2>S cm^<-1>程度の比較的高導電性の半導体であった。
|
Research Products
(11 results)