2009 Fiscal Year Annual Research Report
水素結合と電荷移動相互作用に基づく純有機分子性金属の開発
Project/Area Number |
20550051
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
中筋 一弘 Fukui University of Technology, 工学部, 教授 (60028230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 靖 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (70230133)
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Keywords | 水素結合 / 電荷移動 / 分子性金属 / 電子ドナー / プロトン |
Research Abstract |
本申請研究では、水素結合と電荷移動が連動して相互作用する分子システムの開発を目指して、水素結合型電荷移動錯体を基盤とする特異な物性や高次な機能性を発現する物質開拓を行う。核酸塩基やイミダゾールなどの水素結合部位を持つ骨格と、テトラチアフルバレン(TTF)などの電子ドナー性を持つ骨格を連結した分子を設計・合成し、それらが電荷移動錯体中で発現する構造・物性・機能を探索する。 TTFをセレン置換し、より強い分子間相互作用を形成できるテトラセレナフルバレン(TSF)とイミダゾールの連結体TSF-Imについて、単結晶化ならびにX線結晶構造解析に成功した。結晶中ではイミダゾール骨格での水素結合に加えて、TSF骨格でのセレン原子間相互作用によって二次元的なネットワークが構築されていた。電気化学測定によりこの分子の酸化還元能を調べた。その結果、TSF-ImはTSF自身とほぼ同程度の電子ドナー性を有し、かつTTFとの誘導体(TTF-Im)よりもオンサイトクーロン反発が減少していることが明らかになった。TSF-Imと電子アクセプター分子を溶液中で混合することで電荷移動錯体の合成を行った。これらの錯体は圧縮ペレットを用いた電気伝導度測定において、いずれも10^0Scm^<-1>程度の高い導電性を示した。特にp-クロラニルとの錯体は、金属的性質を示したTTF-Im-p-クロラニル錯体と同じ組成と酷似した分光学的特徴を示したことから、この錯体もまた金属的な性質を示すと予想される。現在はX線結晶構造解析や単結晶での電気伝導度測定を実行するべく、この錯体について単結晶化を検討している。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article]2009
Author(s)
佐藤和信
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Journal Title
Molecular Realizations of Quantum Computing 2007(Kinki University Series on Quantum Computing, Vol.2)(World Scientific)
Pages: 58-162
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