2010 Fiscal Year Annual Research Report
水素結合と電荷移動相互作用に基づく純有機分子性金属の開発
Project/Area Number |
20550051
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
中筋 一弘 福井工業大学, 工学部, 教授 (60028230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 靖 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (70230133)
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Keywords | 水素結合 / 電荷移動 / 分子性金属 / 電子ドナー / プロトン |
Research Abstract |
本申請研究では、水素結合と電荷移動が連動して相互作用する分子システムの開発を目指して、水素結合型電荷移動錯体を基盤とする特異な物性や高次な機能性を発現する物質開拓を行う。核酸塩基やイミダゾールなどの水素結合部位を持つ骨格と、テトラチアフルバレン(TTF)などの電子ドナー性を持つ骨格を連結した分子を設計・合成し、それらが電荷移動錯体中で発現する構造・物性・機能を探索する。 本期間では、申請者が開発した電子ドナーである1,6-ジチアピレン(DTPY)にイミダゾールの2-位あるいは4-位で連結した分子(DTPY-Im)を新規に設計・合成した。合成は、DTPYのトリブチルスズ置換体とイミダゾールのヨウ素置換体を用いたクロスカップリング反応を鍵反応とする方法を用い、効果的に目的物を得ることに成功した。X線結晶構造解析の結果、DTPY-Imはイミダゾールの水素結合とDTPY骨格の強い一次元π積層によって二次元的な構造を形成することがわかった。DTPY-Imと電子アクセプターを溶液中で混合することで電荷移動錯体の合成を行った。これらの錯体のいくつかは、分光スペクトル測定の結果から部分電荷移動状態にあることが示唆された。これらは圧縮ペレットを用いた電気伝導度測定において、室温伝導度が10^<-2>-10^<-1>Scm^<-1>程度の高い導電性を示した。現在はX線結晶構造解析や単結晶での電気伝導度測定によって、錯体中での水素結合の役割の解明や水素結合と電荷移動相互作用が共存することによる特異な物性を探索するために、これら錯体について単結晶化を検討している。
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Research Products
(11 results)