2009 Fiscal Year Annual Research Report
一次元配列された三核および五核d8金属錯体における金属金属相互作用
Project/Area Number |
20550053
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柘植 清志 Osaka University, 大学院・理学研究科, 准教授 (60280583)
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Keywords | N,S架橋 / d8-d8相互作用 / 平面白金(II)錯体ユニット / 平面金(III)錯体ユニット |
Research Abstract |
本研究では、N,S架橋配位子とπ-π相互作用を利用することによりPt^<II>,Pd^<II>,Ni^<II>,Au^<III>などのd^<8>金属中心を一次元的に配列した三核および五核分子性錯体の合成を目的としている。 これまでに、平面金属錯体ユニットとして{Pt^<II>(bpy)}^<2+>,{Pt^<II>(trpy)}^<2+>,{Pd^<II>(trpy)}^<2+>を持つ錯体に加え、強発光性を示すフェニルピリジナト(ppy)配位子を持つ錯体ユニット{Pt^<II>H(ppy)}^+を利用した合成を試みてきた。 本年度は、発光性平面錯体ユニットとして{Au^<III>(ppy)}^<2+>を用いた錯体の合成を試みた。Au^<III>はPt^<II>と同じくd^8の電子状態にあり、三座配位子を持つ平面ユニット{Au^<III>(C^N^C)}は発光性を示すことが報告されている。一方で二座配位子を持つ{Au^<III>(ppy)}^<2+>も発光性ユニットとしての利用が期待されているが、合成例はほとんどなくその性質も明らかにされていない。本年は、このユニットにチオール系配位子が配位した錯体の性質を調べるために、配位力の高い含硫アミノ酸を配位子として錯体の合成を試みた。ペニシラミン(H_2pen)及びシステイン(H_2cys)を持つ錯体[Au(ppy)(L)](L:pen,cys)を合成し、構造決定並びに発光測定を行った。その結果、ペニシラミン錯体は固体室温状態で比較的強い橙色の発光を示すことが明らかになった。この錯体は、{Au(ppy)}^<2+>単位を持つ含硫発光性錯体の最初の例であり、本研究で目的としている三核及び五核錯体の構成単位として、{Au(ppy)}^<2+>単位が有効であることが分かった。
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