2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20550054
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
梶原 孝志 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 助教 (80272003)
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Keywords | 鉄イオン / 磁気異方性 / 鎖状錯体 / 磁気的性質 / 単一次元鎖磁石 |
Research Abstract |
単一元鎖磁石とは鎖状錯体一つ一つが磁石として振る舞う化合物であり, この21世紀になって発見された最も新しい分子磁性体である. その物性発現には, 大きな基底スピン多重度と容易軸型の磁気異方性の導入・制御が重要であり, 今日まで容易軸型の金属イオンを連結しての合成が当然であった, それに対し報告者は容易面型の金属イオンである高スピンFe(II)イオンを垂直に振れながら配置させることにより系全体としての容易軸の実現に成功し, 新たな単一次元鎖磁石の合成に成功している. 本研究ではその磁気物性の複合物性化を見据え, その錯体系のヴァリエーションを増やし, 本系に見られる特異な磁気異方性発現の一般化を行うことを目標とした. 従来の錯体構築に用いられていた有機配位子Hbpcaについてピリジン環の6位に種々の置換基導入を試み,新規に得られたHbpca誘導体を用いた一次元鎖錯体の合成, 構造解析と磁気特性の解明を行った. その結果, 今回合成したいずれの錯体においても単一次元鎖磁石としての特性が観測され, 容易面捩れ配向型構造による容易軸構築が一般的に可能であることが明らかとなった. また, 置換基側鎖の導入により鎖間の配置に差異が観測され, そこに取り込まれている溶媒分子の吸脱着挙動にも違いが見られた. これに伴い, 溶媒の吸脱着に伴う磁気特性の可逆的, ないし不可逆的変化も観測され, いくつかの錯体においてはマグネティックスポンジとしての挙動も観測された. バルク磁石以外でこのような外場応答性磁石が構築されたのは初めてのことであり, その磁気特性の詳細の解明について引き続き研究を行っていく予定である.
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Research Products
(8 results)