2010 Fiscal Year Annual Research Report
光学異性化と幾何異性化からイリジウムトリスキレート錯体の光化学を解明する研究
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20550056
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
唐津 孝 千葉大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70214575)
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Keywords | 光化学 / イリジウム錯体 / 幾何異性体 / 光学異性体 / 発光材料 / 有機エレクトロルミネッセンス |
Research Abstract |
平成21年度の研究結果からtris(2-phenylpyrazole)iridium(III)(Ir(ppz)_3)やその類似構造を有するイリジウム(III)トリスシクロメタレート錯体ででは、mer-Δ体異性体からの光幾何異性化に付随して誘起される光学異性化では,fac-Δとその光学異性体fac-Λの生成比(エナンチオ過剰率)が錯体配位子の種類や,溶媒,反応温度などの諸条件によって異なることを明らかにした。また,この幾何異性化の時,mer-Δ異性体からmer-Λ異性体への光学異性化が起きないことがわかった。これまで提案されている熱異性化や光異性化の機構では,結合(配位子)の組み換えについて生成する四角錐や三方両錐型中間体からの幾何学的かつ確率的な扱いでは説明ができない。そこで計算科学と実験化学を融合させた方法により。2つのアキシャル位のIr-N結合の解裂によりΔ,Λ体が作り分けられること,その経路上の活性化エネルギーの大小が光学異性体過剰率を支配している可能性が高いことがわかった。さらに,配位子を代えた錯体では分割した光学異性体から100%のエナンチオ過剰率で異性化が進行する特異な例を発見することができた。異性化はジアステレオマーとなる遷移状態を経由しており,エナンチオ過剰率に対する温度効果から,2つの経路のエンタルピー差とエントロピー差などの熱力学的解釈をすることができた。 近年,デバイス化に際し,ホスト材料と発光ドーパントであるイリジウム錯体の相分離現象がデバイス製造上のネックとなっている。そこで,配位子にホストとしての機能を有する置換基を導入し,デンドリマー型の錯体を合成する。また,多重水素結合能を有する置換基を導入し,自己組織化により,均一かつ任意のホストーゲスト比率の薄膜形成可能な超分子型発光材料を開発する。また青色錯体用に三重項エネルギーの高いポリマー型のホスト材料を開発した。
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Research Products
(27 results)