2010 Fiscal Year Annual Research Report
水からの可視光誘起酸素発生能を有する分子素子の設計と開発
Project/Area Number |
20550058
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
八木 政行 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00282971)
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Keywords | 水の酸化触媒 / ルテニウム錯体 / 酸素発生 / 超分子 / 人工光合成 |
Research Abstract |
エネルギー・環境問題が大きな社会問題となっている今日ではクリーンで安全なエネルギー源の開発が望まれている。水と太陽光から水素エネルギーを生成する人工光合成はクリーンな次世代エネルギー供給システムとして期待されている。人工光合成の創生には、高活性水の酸化触媒の開発に加え、触媒と光励起系を融合して効果的に水の光酸化を達成することが重要である。当研究室では2,2':6',2"-terpyridine(tpy)配位子を有する単核ルテニウムアコ錯体による水の酸化触媒反応を研究し、tpy配位子の4'位にエトキシキ基を導入したときルテニウムアコ錯体の水の酸化触媒活性が著しく増大することを見出した。本研究では、水の光酸化能を有する機能分子の開発と機能分子修飾による金属酸化物半導体電極表面の機能化を目指して、[Ru(bpy)_3]^<2+>型の可視光増感部位およびルテニウムアコ錯体型の水の酸化部位を新規リンカー配位子で化学的に連結した新規な水の光酸化機能分子の合成に挑戦した。リンカー配位子と[Ru(bpy)_2Cl_2]を水-EtOH混合溶液中でマイクロウェーブ照射を3時間還流して、リンカー配位子担持単核ルテニウム錯体を合成した。これとRu(EtOtpy)Cl_3を過剰のNEt_3を含むEtOH中で4時間還流して目的の二核ルテニウム錯体を合成した。合成した二核錯体のESI-MS測定では、m/z=432.77のメインピークが検出された。このピークはトータル電荷3+の二核ルテニウム錯体のmassに対応し、同位体分布に基づいたシュミレーションスペクトルと一致したことより、目的の二核ルテニウム錯体が合成されたことが示された。MeOH中での二核ルテニウム錯体のUV-可視吸収スペクトルは、λ_<max>=458nmに極大吸収を示した。この吸収スペクトルは、対応する単核錯体[Ru(EtOtpy)(bpy)Cl]^+および[Ru(bpy)_3]^<2+>のそれぞれの吸収スペクトルの和とよく一致した。^1H-NMRの結果、bpy配位子の6位および6'位のプロトンシグナルが]10.0ppmおよび9.95ppmに検出されたことより二核錯体はcisとtransの混合物として得られることが分かった。
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