2009 Fiscal Year Annual Research Report
光応答性超分子錯体の対称性と光誘起電子移動の配向制御
Project/Area Number |
20550062
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
塩塚 理仁 Nagoya Institute of Technology, 工学研究科, 助教 (70293743)
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Keywords | ルテニウム錯体 / 金錯体 / りん光 / 電子移動 / フランクコンドン解析 / 過渡吸収スペクトル |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、対称型ルテニウム(II)-金(I)複合錯体と非対称型ルテニウム(II)-金(I)複合錯体における光励起状態下の物理過程が大きく異なることを示し、非対称型に期待される一方向的な電子移動及び光励起電荷分離状態の存在を証明することにある。そこで平成20年度に続き、21年度は以下に述べる置換位置の異なるルテニウム(II)-金(I)2核錯体及び非対称型Au(I)-Ru(II)-Au(I)3核錯体の合成法の確立と電気化学測定及び光物性測定を行った。具体的には3位及び5位にエチニル置換基を持つフェナントロリンを含むルテニウムポリピリジル錯体と金(I)トリフェニルホスフィンクロライドから合成したルテニウム(II)-金(I)複合2核錯体と3,6位及び3,8位に二つのエチニル置換基を持つπ共役拡張型配位子を含むルテニウム(II)ポリピリジルユニットに二つの金(I)トリフェルホスフィンが有機金属結合したAu(I)-Ru(II)-Au(I)3核錯体を含む4つのルテニウム(II)-金(I)複合金属錯体をそれぞれ合成し、光物性を中心とした測定結果を解析して論文や国際会議等で報告した。特に、データ解析によって酸化還元電位のエネルギー差と発光スペクトルをフランクコンドン解析することにより得られた発光エネルギーとの間に非常に良い一次相関が存在することを示すことができた。又、ナノ秒からマイクロ秒オーダーのタイムスケールにおける吸収及び発光の時間分解スペクトルの結果より光励起状態下における複合錯体内の超分子的な電子移動過程を推定できる興味深い結果を得ることができた。
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Research Products
(5 results)