2010 Fiscal Year Annual Research Report
光応答性超分子錯体の対称性と光誘起電子移動の配向制御
Project/Area Number |
20550062
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
塩塚 理仁 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教 (70293743)
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Keywords | ルテニウム錯体 / 金錯体 / りん光 / 電子移動 / フランクコンドン解析 / 過渡吸収スペクトル |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、ルテニウム(II)-金(I)超分子金属錯体におけるエチニルフェナントロリン配位子骨格の違いにより生じる光励起状態下の電子移動過程を中心とした物理過程の差異について解明することにある。そこで平成22年度はRu(II)-Au(I)-Ru(II)3核錯体の合成法及び精製法の確立と様々な光物性測定を中心に研究を行った。具体的には、3位と8位にエチニル置換基を持つジエチニルフェナントロリン配位子を含むルテニウムポリピリジル錯体と金(I)錯体から合成したルテニウム(II)-金(I)-ルテニウム(II)ポリピリジル3核錯体を合成し、様々な光物性の測定結果を解析し、その成果を国際会議等で報告した。特に、3,8-ジエチニルフェナントロリンを含むルテニウムポリピリジル錯体を含むすべてのルテニウム(II)-金(I)複合錯体について発光寿命及び過渡吸収スペクトル結果の解析を行った。その結果として、これまで議論してきた光吸収後の準安定状態である三重項MLCT状態における電子移動がルテニウム中心からフェナントロリンに対して起きていることを明確にすることができた。又、4位にトリメチルシリルエチニル置換基を持つフェナントロリン配位子を含むルテニウム(II)ポリピリジル錯体を合成し、その光物性を評価した。この化合物は、他の研究者より最近報告されたとおりデュアルエミッションと言う発光特性を有することを確認した。この結果は、申請者がこれまで研究してきたルテニウム錯体群とは明らかに異なり、本研究で想定した光応答性超分子金属錯体の光誘起電子移動の配向制御と言うコンセプトには明らかに不向きな物性である。この結果も含めて、エチニル置換基のフェナントロリン配位子内での位置が本研究課題における超分子設計において如何に重要であるかが解明できた。
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Research Products
(6 results)