2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規な遷移金属ニトリド/イミド錯体の合成とその窒素原子転移反応の機構解明
Project/Area Number |
20550064
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鈴木 孝義 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (80249953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 秀夫 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 准教授 (70242807)
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Keywords | 金属錯体化学 / 窒素原子転移反応 / ニトリド錯体 / 高原子価錯体 / 窒素原子挿入反応 / イミド錯体 |
Research Abstract |
本研究は遷移金属-アジド錯体の光反応により、新規のニトリド/イミノ錯体を合成し、その生成錯体の配位原子上での反応性を解明することを目的としている。新たな反応性の高い金属錯体の開発を目指して種々のアジド錯体を合成し、その光照射および熱反応を検討したところ、当初目的としていたニトリド錯体ではなく、5-メチルテトラゾラトが架橋配位した二核錯体が得られた。このテトラゾラト錯体には種々の架橋異性体が存在し、その異性体の選択的な生成と異性化反応機構の解明は特に興味深い分野である。そこで、テトラゾラト架橋異種金属二核錯体の高選択的な合成と新たな複合物性の開拓に関する研究を展開し、多くの進展があった。これまでのニトリド錯体の生成と同様に、共存配位子の種類により生成物の選択性が得られること、異性化はRh(III)中心では解離的に起こるが、Ir(III)中心ではη^2-型中間体を経由することを明らかにできた。さらに、2-(2-ピリジル)フェニルを共存する場合には、テトラゾラト配位子のメチル基とフェニル環の間にC-H/π相互作用が生じるため、ほぼ同様の立体効果を持つ2,2'-ビピリジンとは異なる異性体が安定化されることがわかった。 また、8-キノリルポスフィンを含む新稀な金属錯体の合成に関する研究では、顕著な物性変化をともなう新しい歪み異性体対の発見に成功した。このような構造異性体、架橋異性体による性質の違いに関する知見は、本研究で主たる目的としているニトリド錯体の合成戦略を立案する上においても、非常に重要である。
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