2008 Fiscal Year Annual Research Report
金属配位によって創出される「不斉酸素原子」のキラリティーコントロール
Project/Area Number |
20550065
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
三方 裕司 Nara Women's University, 共生科学研究センター, 准教授 (10252826)
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Keywords | 不斉酸素原子 / 金属配位 / 金属錯体 / エーテル酸素 / キラリティー / 不斉配位 / 不斉窒素原子 |
Research Abstract |
本研究計画では,配位子の精密設計と適切な金属イオンの選択を通して,金属配位酸素原子上に発現するキラリティーおよび金属周辺における不斉環境の精密制御の可能性とその限界を明確にし,「不斉酸素原子」というこれまでにない新しい概念を提唱する。配位子の合目的設計により,「不斉酸素原子」のみに由来する鏡像異性体の単離・構造決定を目指すとともに,その物性を詳細に解析することにより,「不斉酸素原子」の応用面での利用を目指す。 本年度の研究では,不斉要素を全く持たないアキラルな配位子を用いて不斉酸素原子を発現することを目的とした。配位子が金属に配位することにより不斉酸素原子と不斉窒素原子を同時に発現する系を構築し,不斉窒素原子の立体配置により,不斉酸素原子の立体配置が高い選択性で制御されることを見いだした。銅錯体および亜鉛錯体の構造はX線結晶構造解析により明らかにした。得られた結晶はいずれもラセミ晶であった。また,亜鉛錯体のプロトンNMR測定により,酸素原子の隣のメチレンプロトンが非等価になっていることがわかった。これは,溶液中において不斉酸素原子の立体配置が保持されていることに由来していると考えられる。さらに,溶液の温度を上げてスペクトル変化を観察したところ,70℃以上でも上述のメチレンプロトンの非等価性が保持されていることが明らかとなった。これにより,不斉酸素原子の立体配置は不斉窒素原子の導入により大きく安定化されることがわかった。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Syntheses, structural characterization and photophysical properties of 4-(2-pyridyl)-l, 2, 3-triazole rhenium(I)complexes2008
Author(s)
M. Obata. A. Kitamura, A. Mori, C. Kameyama, J. Czaplewska, R. Tanaka, I. Kinoshita, T. Kusumoto, H. Hashimoto, M. Harada, Y. Mikata, T. Funabiki, S. Yano
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Journal Title
Dalton Trans.
Pages: 3292-3300
Peer Reviewed
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