2008 Fiscal Year Annual Research Report
生体内のナノサイズスイッチの先端計測手法による機構解明
Project/Area Number |
20550068
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
大胡 惠樹 Toho University, 医学部, 講師 (40287496)
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Keywords | 鉄(III) / ヘムタンパク質 / 電子密度分布解析 / ポルフィリン / d_π-p_π相互作用 / 電子配置 / スピンクロスオーバー / スピン密度 |
Research Abstract |
種々のヘムタンパク質はポルフィリン・鉄・軸配位子間の電子の供与,逆供与の方向,程度を調節することにより,機能のスイッチングを行っていると考えられる.通常のX線結晶構造解析で見ているのは内殻電子であり,得られる情報は各原子間の距離,角度のみであるのに対し,電子密度分布解析は外殻電子を観測することにより,軌道の配向や,相互作用の有無,結合次数,結合の性質, Bond Path等をより直接的に観測することができる.放射光を用いた電子密度分布解析やab initio粉末構造解析によりヘムの構造や電子状態を明らかにすることを目的として研究を行なった.そこで中心金属周辺のcavityが小さく,メソ位に電子吸引性から電子供与性の置換基を導入した一連の非平面化ポルフィリン及びポルフィリン類縁体鉄(III)錯体を合成し,まず種々の軸配位子を持つ6配位錯体の互^1H NMRおよび^<13>C NMRの温度可変測定を行い, Curie plotsをとった結果,これらの錯体の溶液中でのスピンクロスオーバー挙動を明らかにした.スピンクロスオーバー錯体については,低温でどのような電子配置を持つ低スピン錯体に変化するかをEPRスペクトルにより確認した.スピン状態変化の挙動を追跡するためSQUIDやMossbauerスペクトルの測定を行ない,また固体EPRスペクトルも測定した.これらの結果,周辺の置換基の電子供与性やヘムの非平面化により電子配置をコントロールできることが可能であることが明らかになった.これらの錯体の放射光を用いたab initio粉末構造解析,および電子密度分布解析を現在行なっている.
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[Journal Article] Electronic properties in a five-coordinate azido complex of nonplanar iron(III) porphyrin : revisiting to quantum mechanical spin admixing.2008
Author(s)
S. Neya, A. Takahashi, H. Ode, T. Hoshino, M. Hata, A. Ikezaki, Y. Ohgo, M. Takahashi, H. Hiramatsu, T. Kitagawa, Y. Furutani, V. A. Lorentz-Fonfria, H. Kandori, N. Funasaki, M. Nakamura
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Journal Title
Bull. Chem. Soc. Jpn. 81
Pages: 136-141
Peer Reviewed
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