2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体内のナノサイズスイッチの先端計測手法による機構解明
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20550068
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
大胡 惠樹 東邦大学, 医学部, 准教授 (40287496)
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Keywords | 鉄(III) / ヘムタンパク質 / 電子密度分布解析 / ポルフィリン / d_π-p_π相互作用 / 電子配置 / スピンクロスオーバー / スピン密度 |
Research Abstract |
本研究の目的はヘムの持つpπ-dπの電子的な相互作用を最先端の結晶構造解析手法を用いて,直接的に明らかにし,機能性材料として応用することである.SPring-8やKEK,PF-AR等の高輝度のX線を用いる電子密度分布解析により直接的に電子密度およびスピン密度の両方を観測することを目的とした. 当該年度の研究の成果に関して以下に示す. (1) 電子配置のスイッチングを行なうポルフィリン類縁体鉄(III)錯体(ポルフィセン,コルフィセン,オキシピリポルフィリン等)の合成を行った.(2)合成したポルフィリン類縁化合物に種々の軸配位子を配位させ,^1H NMRおよび^<13>C NMRの温度可変測定を行い,Curie plotsをとったところ,スピン状態,電子配置が温度によって変化する化合物があることが明らかになった.(3)これらの錯体に関して,極低温においてEPR測定を行い,スピン状態の変化をEPRスペクトルにより確認した.その結果,スピンクロスオーバーだけでなく電子配置変換挙動を示す錯体があることが判明した. (4) 固体サンプルにおけるスピン状態変化の挙動を追跡するためSQUIDやMossbauerスペクトルの測定を行った.光応答性や圧力応答性に関してSQUIDにて追跡を行い,特に圧力応答性があることが明らかになった.(5)単結晶構造解析装置を用いて,前述の錯体の分子構造,結晶構造を明らかにした.電子配置変換と分子構造の相関に関して,知見を得ることに成功した. (6) 放射光(KEK PF-AR, SPring-8)において測定したデータを用いて電子密度分布解析を行なった.配位子場の対称性を変化させたことに伴い,鉄とポルフィリン類縁体のπ電子との相互作用が変化していることが明らかになった.この結果より,ヘム蛋白の機能調節のメカニズムに関連する知見が得られた.
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Research Products
(22 results)
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[Presentation] 外部刺激応答型の新規機能性ヘム2011
Author(s)
大胡恵樹, 橋爪大輔, 高橋一志, 森初果, 速水真也, 藤原基靖, 根矢三郎, 生天目由紀子, 中村幹夫
Organizer
感染症・免疫難病の先進医療開発 平成22年度 事業報告会
Place of Presentation
東邦大学, 東京都(依頼講演)
Year and Date
2011-03-25
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[Presentation] ヘムモデルの異常な外部刺激応答性2010
Author(s)
大胡恵樹, 橋爪大輔, 高橋一志, 森初果, 速水真也, 藤原基靖, 根矢三郎, 生天目由紀子, 中村幹夫
Organizer
第4回東北大学G-COE研究会「金属錯体の固体物性科学最前線-錯体化学と固体物性物理と生物物性の連携新領域創成を目指して-」
Place of Presentation
東北大学理学部, 宮城県
Year and Date
2010-12-04
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[Presentation] ヘム錯体の外部刺激応答性2010
Author(s)
大胡恵樹, 橋爪大輔, 高橋一志, 森初果, 速水真也, 根矢三郎, 中村幹夫
Organizer
日本結晶学会 60周年記念年会
Place of Presentation
大阪大学コンベンションセンター, 大阪府
Year and Date
2010-12-03
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