2009 Fiscal Year Annual Research Report
低濃度ゲルを用いる高性能二次元電気泳動法の開発と応用
Project/Area Number |
20550072
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小竹 玉緒 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授 (10301128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 欣一 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30175468)
佐伯 俊彦 群馬大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00241860)
植木 悠二 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (50446415)
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Keywords | 二次元電気泳動 / 等電点電気泳動 / 低濃度ゲル / アクリルアミド / 固定化pH勾配 / マルチフィラメント糸 / メッシュチューブ / プロテオーム解析 |
Research Abstract |
申請者らは、二次元電気泳動法(2-DE)の操作性や分離性能を向上させるため、一次元目の等電点電気泳動(IEF)ゲルとして、糸を支持体とするゲル(糸ゲル)を提案・開発してきた。糸ゲルの電気泳動分離における再現性や操作性をさらに向上させるため、今年度は以下の項目を検討した。 1.糸ゲルの再現性の向上 低濃度糸ゲルはIEF後に太さが部分的に変化する場合があり、これが再現性の問題の原因の一つと考えられた。試料溶液の組成と泳動条件を検討した結果、糸の表而電荷による電気泌透流が糸ゲル変形の原因であると推察された。 2.固定化pH勾配(IPG)メッシュチューブゲル作製 ゲルの新しい支持体として昨年度導入したメッシュチューブを用いたIPGゲルの作製について検討した。メッシュチューブ用のゲル作製装置を作製し、モノマー溶液の送液条件を検討した。作製したIPGメッシュチューブゲルは、ゲル濃度3.9%T、2.5%Tのゲルともに、pH4.5~9.0の勾配が形成できた。しかし、高分子量タンパク質を試料として2-DE分離したところ、市販のIPGストリップゲルや、IPGでない通常のアクリルアミドメッシュチューブゲルと比較して、分離能はそれ程良好ではなく、ゲル濃度や試料添加法等のさらなる検討が必要であることがわかった。 3.糸ゲル2-DEシステムによる実タンパク質試料分離とプロテオーム解析への応用 培養日数の異なるラット肝臓幹様細胞の抽出液を実タンパク質試料とし、作製した低濃度糸ゲルを用いて2-DE分離した。さらに、ゲル内トリプシン消化とMALDI-TOF-MS分析によりタンパク質を同定し、培養日数により発現量の異なるタンパク質を特定した。糸ゲル2-DEシステムをプロテオーム解析に適用することにより、細胞の増殖とその抑制の機序を解明できることが示唆された。
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