2008 Fiscal Year Annual Research Report
カラム固相の捕集、濃縮、検出能を利用する環境水のオンサイト簡易分析法の開発
Project/Area Number |
20550077
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
奥村 稔 Shimane University, 総合理工学部, 教授 (30032650)
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Keywords | 環境分析 / オンサイト簡易分析 / リン酸態リン / モリブデン青 / 環境水 |
Research Abstract |
環境水の水質汚濁を反映する物質として無機態リン、有機態リンがある。このため、環境水水質汚濁の指標としてリンに注目し、現場で簡便に目視定量できる環境水中リンのオンサイト簡易分析法の開発を目指す。平成20年度は、試料水中で発色させたリン酸イオンをカラムに捕集し、このリン酸イオンの発色層の長さからリン酸イオンを簡易定量する方法について、基礎的研究を進めた。このため、1.リン酸イオンの発色とカラム充填用吸着捕集剤の検討、2.カラムにおける発色層の展開の検討、さらに3.カラムの調製と試料水等の通水速度の検討を行った。結果は次の通りである:リン酸イオンの発色は、モリブデン青の生成を利用し、発色は操作の簡便性から、シリンジを用いて行った。モリブデン青の吸着捕集剤として各種吸着捕集剤を比較検討した結果、オクタデシル基結合型シリカゲルが最適であった。しかし、これをカラムに充填し発色溶液を通水すると、カラムの上部に全て吸着され、帯状に展開しないことが分かった。このため、発色層の展開剤として、酸・塩基水溶液、有機溶媒等を調べた結果、有機酸溶液による展開が最も良く、その展開液としての濃度、通水量について最適な条件を見いだした。また、現場での操作性を良くするために通水速度について検討した。通水には、カラムの内径は4mmが良く、このときの通水速度を5mm/minとした。各検討の結果から得られた最適条件に基づく簡易分析法から、リン酸イオンの濃度と発色層展開による長さとの間には良い相関(検量線)が見られ、水中リンを簡易に目視定量できる基本的な分析法を確立した。
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