2010 Fiscal Year Annual Research Report
カラム固相の捕集、濃縮、検出能を利用する環境水のオンサイト簡易分析法の開発
Project/Area Number |
20550077
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
奥村 稔 島根大学, 総合理工学部, 教授 (30032650)
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Keywords | 環境分析 / オンサイト簡易分析 / リン酸態リン / モリブデン青 / 環境水 |
Research Abstract |
環境水汚濁を反映する物質としてリンに注目して、現場で簡便に目視定量できる環境水中リンのオンサイト簡易分析法開発を目指す。平成22年度は、これまでに確立した分析法を環境水に適応できるように展開した。このため、システムとしての分析法への妨害、有機態リンの分析、本法の環境水への適用を検討した。1.環境水にみられるイオン類、K^+、Mg^<2+>、Ca^<2+>、Al^<3+>、Cu^<2+>、Fe^<3+>、Cl^-、NO_3^-、SO_4^<2->について、現場簡易カラム定量法と固相抽出定量法への影響について調べた。これらのイオン類の定量への妨害の限界濃度は、両法で同程度であった。陽イオンのNa^+、K^+、Mg^<2+>、Ca^<2+>、及び陰イオンのCl^-、NO_3^-、SO_4^<2->は、g/lオーダーでも影響はなかった。また、Al^<3+>とCu^<2+>では500mg/lまで、Fe^<3+>では100mg/lまで影響はなかった。2.紫外線照射による有機物分解装置(共立理化学研究所WA-UVR)を用いて有機リンを分解後、本法による分析を試みた。有機リンとしてリン酸ジメチル、リン酸ジブチル、β-グリセロリン酸等を用いた。両法ともに良好な結果を得た。しかし、塩分の高い試料水については、固相抽出定量法の回収率の低下がみられた。3.本研究で確立した現場簡易カラム定量法及び固相抽出定量法を従来法であるモリブデンブルー吸光光度法と、環境水(汽水)を用いて比較・検討した。現場簡易カラム定量法及び固相抽出定量法によるリン濃度と従来法であるモリブデンブルー吸光光度法によるリン濃度はよく一致しており、本法は環境水に十分適用可能である。本分析法を汽水湖中海のリン酸態リンの鉛直分布(夏季)に適用した。リン酸イオン濃度が湖底で高く、リン酸イオンが夏季に湖底から溶出する様子が示された。島根県伯太川に適用し、リン酸イオンの濃度分布を調べた。山間部の上流では濃度が低いが、安来市の町中を流れる下流部では濃度が上昇し、人為的な影響がみられた。このように、確立した本法は、環境水のオンサイト分析法として有用である。
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