Research Abstract |
本研究は,金属サレン錯体と有機ハロゲン化物との触媒的酸化還元反応を利用した,有機ハロゲン化物の高感度検出法の開発を最終目的とする。最終目標に達するまでの基礎的研究として,1)金属サレン錯体と有機ハロゲン化物との反応のスクリーニング2)金属サレン錯体の電気化学的酸化還元挙動の解析3)金属サレン錯体と有機ハロゲン化物と反応解析4)金属サレン錯体の改良(合成),同定を行う。平成21年度は,有機ハロゲン化物の検出法開発に向けて,配位子の置換基に着目し,様々なサレン誘導体を配位子とする金属錯体と有機ハロゲン化物との反応のスクリーニング,金属サレン錯体の電気化学的酸化還元挙動の解析,金属サレン錯体と有機ハロゲン化物と反応解析,脱ハロゲン化反応に及ぼす光照射および有機溶媒の効果などの基礎的研究を行った。様々なサレン誘導体を配位子とするコバルト-および鉄錯体の電気化学的酸化還元挙動について詳細に調べた結果,中心金属が変わっても,酸化還元電位の順序は,配位子の置換基によって決まることが分かった。また,脱ハロゲン化反応は,どの金属サレン錯体でも進行していることが分かった。加えて,それぞれの金属サレン錯体の酸化還元電位は,有機溶媒に大きく依存しているが,脱ハロゲン化反応は,どの溶媒中においても進行していた。一方,錯体自身の還元電流値に対する脱ハロゲン化反応に伴う中間体の還元電流値の比は,掃引速度を遅くすることによって,飛躍的に高くなることが分かった。つまり,中間体生成が,律速段階になっていることを示した。
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