2008 Fiscal Year Annual Research Report
水素ラジカルによる特異な分解反応の基礎研究とタンパク質化学への応用
Project/Area Number |
20550081
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
高山 光男 Yokohama City University, 国際総合科学研究科, 教授 (10328635)
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Keywords | 水素ラジカル / 質量分析 / 加水分解 / タンパク質 |
Research Abstract |
これまで、水素ラジカルと超音波の組み合わせにより、アミノ酸配列解析に応用可能なペプチドの加水分解反応を発見した。その際、水溶液中での水素ラジカル発生源として、ジヒドロキシベンゼンを添加剤にした。 平成20年度の研究では、無害な添加剤として種々の物理化学的性質を有する一連のアミノ酸を用いたところ、グリシンとチロシンが比較的有意な結果を与えた。すなわち、ペプチド結合での加水分解が見られ、アミノ酸配列解析が可能であった。しかし、副次反応も観測されたことから、さらに条件を検討中である。また、副次反応の少ないジヒドロキシベンゼンとしてカテコールを添加物とし、超音波照射条件の最適化を行った。その結果、ペプチド水溶液1000μlに対してカテコールを10mg添加し、40分の照射を行ったときに最大の分解効率が得られた。一方、ベンゼンジチオールを添加剤にすることにより照射時間が20分に短縮され、さらに副次反応も起こらなかった。上記実験において特筆すべきは、超音波照射による分解反応では脱水反応やアミノ酸側鎖の分解が起こらず、ペプチド結合の加水分解のみが特異的に起こることである。結果として、ペプチドのアミノ酸配列解析を高い精度で行うことができるようになった。本成果は発明事項として特許出願を行う(特願2008-316326)と同時に、国際学術雑誌(Ultrasonics Sonochemistry)にも投稿掲載された。
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