2010 Fiscal Year Annual Research Report
カスタム分離系プラットフォームとしての逐次キャリアー置換動電クロマトグラフィー
Project/Area Number |
20550082
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
江坂 幸宏 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (70244530)
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Keywords | ミセル動電クロマトグラフィー / マルチモード / 逐次キャリアー置換 |
Research Abstract |
これまでに、グラジエントMEKC法の確立(20年度)、異なる性質・構造のキャリアーの逐次的作用による、複数の分離モードを一分離過程中に機能させる複合分離システムの構築(21年度)と研究展開してきました。本年度は、現実的な諸問題を解決して実用性の高いシステムの構築を目指しました。 再現性・ロバスト性の向上:本法は、泳動時間の再現性がやや悪いという問題を抱えています。これは電気浸透流(EOF)の完全な制御が難しいことに由来しており、また、EOFの抑制に置換ポリアクリルアミドを壁面に化学結合させる方法をとっていますが、この歩留まりと耐久性に問題があります。今回、修飾法の再検討で歩留まりの向上は得られましたが、異種キャリアーゾーン間に一時的に形成される高い電場によって、被覆の破壊が生じることは回避できませんでした。今回、一つの解決策として、pH3以下の泳動液の使用によるEOF抑制を利用しました。未修飾キャピラリーで、再現性よく耐久性の問題なくEOF抑制が達成されます。一方で、酸性条件下でもミセルの荷電を確保するため、SDSのように強酸の共役塩基を極性基とする界面活性剤によってシステムを構成する必要があります。ここでlithium perfluorooctane sulfonate(LiPFOS)とSDSの2種のミセル系の組み合わせを検討しました。LiPFOSミセルは、水素結合酸性が極めて強いミセルであり、SDSと顕著に異なる分配選択性を有します。この組み合わせは、高い再現性を維持して幅広い分離選択性を実現するシステムの構築を可能にしました。さらに、シュミレーションによる最適条件の予想を実現しました。 複数モードの効率的な作用の実現:逐次的な複数種のミセルの効果を十分に発現させるため、溶媒に有機溶媒の比率を大きくし、分配を一様に下げた検討を行い、効果を得ました。
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Research Products
(9 results)