2009 Fiscal Year Annual Research Report
インデニル配位子の特性を活かしたジルコニウム錯体の反応と有機合成への応用
Project/Area Number |
20550090
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 保 Hokkaido University, 触媒化学研究センター, 教授 (30163273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 研一郎 北海道大学, 触媒化学研究センター, 助教 (20360951)
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Keywords | ジルコニウム / インデニル配位子 / メタラサイクル |
Research Abstract |
チタン上で2つのアセチレン類がカップリングするとチタナシクロペンタジエンが生成することは古くから知られていたが、最近我々は、このチタナシクロペンタジエンに種々含窒素の反応剤を加えると、チタンに結合していたシクロペンタジエニル基がジエン部分とカップリングすることを見出した。この含窒素反応剤としてはアゾベンゼン誘導体などが特に有効であるが、この反応剤をジルコニウムとアセチレンとを用いて合成されるジルコナシクロペンタジエンに用いても類似のカップリング反応は全く進行しない。 それに対して塩化チタンはチタナシクロペンタジエンのカップリング反応を低温て進行させることを見出したので、ジルコナシクロペンタジエンにこの塩化チタンを加えたところ、ジヒドロインデン誘導体が得られた。このジルコナシクロペンタジエンのシクロペンタジエニル配位子に置換基をメチル基、ブチル基、t-ブチル基をいうように大きくしていくと、収率が大きく向上することを見出した。特にt-ブチル基を用いたときには90%を越える収率を得た。 このチタンとジルコニウムの反応の差を調べるため、置換基をもったチタナシクロペンタジエンとジルコナシクロペンタジエンの結晶を合成し、そのX線構造解析をおこなって、シクロペンタジエニル配位子とジエンの金属と結合している炭素との距離を調べたところ、ジルコニウムの場合にはチタンと比べてかなり距離が長いことが分かった。この距離の長さがチタナシクロペンタジエンに比べてジルコナシクロペンタジエンの反応性が比較的に低く、これまでジルコニウムでこのようなカップリング反応が見出されなかった理由であることもわかった。
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Research Products
(4 results)