2010 Fiscal Year Annual Research Report
二核アリルおよびプロパルギル錯体を利用した新規触媒反応の開発
Project/Area Number |
20550091
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
塚田 直史 静岡大学, 理学部, 准教授 (70292240)
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Keywords | 二核錯体 / パラジウム / アリル化合物 / プロパルギル化号物 / 触媒反応 |
Research Abstract |
初めに実施計画に従い研究を行った。 (1) 二核パラジウムアリル錯体を用いたアリルアルコールによるアルキンのアリル化反応について反応条件の最適化を行った。反応温度、反応時聞、溶媒、触媒等、種々検討を行ったが、残念ながら著しい収率の向上は見られなかった。しかし、収率は低いものもこれまでに例の無い化学変換手法を見出すことができた。 (2) 二核白金アリル錯体の触媒としての利用について検討した。二核パラジウムアリル錯体が有効であったアルデヒドおよびアルキンのアリル化反応で調査を行ったが、白金錯体は活性も低く、特徴的な触媒作用を示すことも無かった。白金と相性の高い反応剤の探索の必要性が確認された。 (3) 二核プロパルギル錯体を用いたプロパルギル化反応について検討した。これまでに二核プロパルギル錯体の合成に成功しているが、その一般性は低く錯体の構造の多様性は限定された。触媒の検討は十分に行うことができなかったが、二核プロバルギル錯体がプロパルギルアルコールの共役アルデヒドへの変換反応に活性を持つことを見出した。 上記の研究に加えて、アリル化合物と各種求核剤との反応についても検討した。その中で、フェニルホウ酸を用いたときに二核パラジウムアリル錯体が特徴的な位置選択性を示すことを見出した。末端に置換基を有するアリル化合物の反応では一般的に直鎖体が優先的に得られるが、二核錯体を触媒に用いた場合、選択性が逆転し分枝体が主生成物として得られた。今後の選択性の向上により、従来の単核錯体を用いた反応と相補的な合成手法が構築されることが期待される。
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