2009 Fiscal Year Annual Research Report
低毒性スズ反応剤の設計と創製に基づく環境調和型有機合成法の開発
Project/Area Number |
20550092
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
三浦 勝清 Saitama University, 理工学研究科, 教授 (20251035)
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Keywords | 有機スズ反応剤 / ラジカル反応 / ハロアルカン / ヒドロスタンナン / 環境調和型合成 / 還元反応 |
Research Abstract |
本研究では、新規有機スズ反応剤を設計・創製し、環境負荷の少ない精密有機合成法を開発することを目標としている。21年度は、トリベンジルヒドロスタンナンによるラジカル反応、これによって生成するトリベンジルハロスタンナンの分解と除去、ジベンジルクロロヒドロスタンナンの合成について検討を行った。トリベンジルヒドロスタンナンによるラジカル反応では、エステルやヒドロキシ基などの極性官能基を有するブロモおよびヨードアルカンの還元が効率よく進行することがわかった。溶媒としてヘキサンを用いるとトリベンジルヒドロスタンナンはヘキサンに少し溶解するが、ハロアルカンの還元により生じるトリベンジルハロスタンナンは溶解度が低く、ろ過により容易に除去できることが偶然にわかった。溶解度の差を利用した有機スズ化合物の除去は極めて容易で、精製過程の省資源・省エネルギー化を達成できることから、今後、さらに検討していく予定である。また、トリベンジルハロスタンナンは、過酸化水素と塩基による炭素-スズ結合の酸化的切断により、無機化できることが明らかとなった。この酸化反応ではベンジルアルコールが生成し、その生成量から、最適条件では75%の炭素-スズ結合を切断できることがわかった。ジベンジルクロロヒドロスタンナンの合成のために、まず、ジベンジルジヒドロスタンナンの合成について検討し、部分的に成功した。しかし、この化合物の単離は難しく、粗精製物を用いたジベンジルジクロロスタンナンとの反応によりジベンジルクロロヒドロスタンナンの合成を目指したが、今のところ成功していない。
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Research Products
(1 results)