2008 Fiscal Year Annual Research Report
Grignard反応剤を用いるアルデヒドの実用的不斉アルキル化反応
Project/Area Number |
20550095
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
原田 俊郎 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 教授 (30135628)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠川 隆博 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (70300720)
|
Keywords | 合成化学 / 触媒・化学プロセス / 有機金属化合物 / マグネシウム / 不斉合成 |
Research Abstract |
有機金属反応剤による、アルデヒドやケトンへの触媒的不斉付加は光学活性体の有機化合物を合成する上で、最も基本的な不斉合成反応である。そのため近年、活発な研究が進められ、触媒効率及びエナンチオ選択性の向上、ケトンやイミンへの適用範囲の拡大など、著しい進展を遂げてきた。しかし、従来の研究の大半では、有機金属反応剤としてジ有機亜鉛化合物が用いられており、カルボニル基への付加反応に最も一般的なGrignard反応剤を直接用いることができる触媒的不斉付加反応の報告は皆無であった。申請者らは、先に開発した非対称置換BINOL配位子DPP-BINOLの高活性に注目し、そのチタン錯体を触媒に用いる不斉付加反応を検討した。その結果、Grignard反応剤を2当量のTi(Oi-Pr)_4と混合して用いることにより、高効率、高エナンチオ選択的に不斉付加反応が進行することを見いだした。わずか2mol%の触媒を用いるだけで、種々の第1級アルキルGrignard反応剤の芳香族アルデヒドへの不斉付加を90%eeを超える高い選択性で実現できる。更に、エステルやニトリルなどの反応性の官能基が共存してもアルデヒドへの選択的な不斉アルキル化が進行することが明らかとなった。また、フランやチオフェンなどの芳香族複素環アルデヒドの不斉アルキル化反応にも利用できることがわかった。なお、脂肪族アルデヒドの不斉アルキル化についても種々の反応条件を検討したが、中程度のエナンチオ選択性しか得られなかった。触媒量を更に低減化することを目指し、キラル配位子の改良について検討した結果、DPP-H_8-BINOLが有望であることが明らかとなった。
|
Research Products
(8 results)