2010 Fiscal Year Annual Research Report
不斉結合活性化反応を指向した着脱可能部位を有する分子性金属触媒の開発
Project/Area Number |
20550097
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
片岡 靖隆 奈良女子大学, 理学部, 教授 (90221879)
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Keywords | イリジウム / 炭素-水素結合活性化反応 / 速度論的制御 / 熱力学的制御 / N-ヘテロサイクリックカルベン / 異性化反応 / 分子内反応 |
Research Abstract |
高選択的かつ高効率な不斉合成反応および結合活性化反応を融合した反応系に関する研究は全くといっていいほど未開発の分野である。なぜならこの二つの反応に利用する触媒の反応性を制御する配位子の設計において相反する考え方を同時に満足させる必要があるからである。本研究ではこの問題を解決できる新しい配位子の設計を行い、結合活性化反応を鍵とする新規不斉合成反応の開発を目指す。平成22年度では以下の2項目について検討した。これまでの本研究において設計,合成したCp'-PO配位子に新たに光学活性な置換基を導入し,酸化的付加反応を利用して中心金属上に不斉点を有する光学活性イリジウム3価錯体の合成を行った。合成した錯体の単離および構造決定に成功し,光学活性な錯体における面不斉および金属上の不斉点の立体構造を明らかにすることができた。また,酸化的付加反応において発生する金属上の不斉点の立体化学が,熱力学的および速度論的に制御することが可能であることを示し,高選択的に錯体を合成する手法を明らかにした。この光学活性錯体を用いて,触媒反応を検討すれば本研究の最終目的に到達することが期待できる。2つ目の項目は,カルベン配位子を基盤とするインデニルエチルNHC配位子の設計,ならびに,そのイリジウム錯体の合成および反応性についての検討である。このイリジウム錯体を用いると,インデニル基のシクロペンタジエニル部位の2重結合の異性化および分子内炭素-水素結合活性化反応を経て,sp^2炭素が不斉炭素へと変換される反応が進行することがわかった。炭素-水素結合の活性化と不斉反応を融合した反応系であり,本研究の目的とする反応である。今後,反応機構に関する情報を得るとともに,その知見をもとに触媒反応への応用することがこれからの課題である。
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Research Products
(13 results)