2008 Fiscal Year Annual Research Report
巨大・複合機能システムをつくるための「超分子合成化学」
Project/Area Number |
20550098
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
佐竹 彰治 Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 助教 (00277831)
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Keywords | 超分子 / ポルフィリン / ナノ化学 / 光合成 / 超分子合成化学 |
Research Abstract |
本研究では、仕掛けを有する分子を超分子自己組織化させ、大きさが数ナノメートルを超える巨大な超分子系や複数の機能性分子が組合わされた複合超分子系を効率よく構築する方法論の開発とその機能発現の開発を目的とする。本年度は以下の成果を得た。 1.光合成のモデル系として、ナノメートルサイズの穴をもつポルフィリンナノリング内にエネルギー受容体(アクセプター)を超分子化学的に導入し、光捕集アンテナーアクセプター複合体を構築することに成功した。蛍光スペクトル測定装置を用いて、ポルフィリンナノリングを励起するとエネルギー移動を経て、内部のアクセプター分子からの発光が観測された。蛍光寿命測定装置によりエネルギー移動効率は約90%と見積られ、超分子内での効率的なエネルギー移動がおこっていることが明らかとなった。この成果は人工光合成につながる意義のある研究である。 2.チオフェニレン連結ビスイミダゾリル亜鉛ポルフィリン分子(単位分子)のチオフェン部の3,4位にオクチル基を導入し、超分子自己組織化することにより、単位分子が7〜10個自己組織化した巨大環状体が、効率的に構築できた。得られた大環状体はオレフィンメタセシス反応による共有結合固定化によって安定化することができ、それぞれの環状体を単離することに成功した。この成果は巨大超分子を構築する新しい方法論を提案するものである。 3.基板上で約200nm離れた金ナノ粒子間を幅約1nmの機能性ポルフィリン分子を用いて、自己組織的に配線することに成功した。原子間力顕微鏡による観測により、配線分子が基板に接地しながら金ナノ粒子を配線している様子が確認できた。この成果はナノ化学研究領域にインパクトを与えるものである。
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Research Products
(10 results)