2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規なカルベン配位子を有する金属錯体の合成と不斉触媒反応への利用
Project/Area Number |
20550103
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
坂口 聡 Kansai University, 化学生命工学部, 准教授 (50278602)
|
Keywords | 含窒素複素環式カルベン / 遷移金属触媒反応 / 不斉触媒反応 / アニオン性アミデートPd錯体 / β-アミノアルコール / カルベンAg錯体 / アゾリウム塩 / 配位化学 |
Research Abstract |
遷移金属触媒反応における立体化学の制御は、中心金属に強く配位できる配位子の開発を基盤としている。含窒素複素環式カルベン(NHC)のような強い配位ユニットと立体配向性官能基を組み合わせた多座配位子は、中心金属の電子的・立体的性質に大きな影響を与え、有用な触媒として機能することが期待できる。本年度の研究では、最近、当研究室で開発に成功したアミデート/NHC配位子をもつキラルなPd(II)錯体の一般的な合成法を確立することを目的に検討を行った。 不斉源としてa-アミノ酸から誘導されるβ-アミノアルコールを用い、N-メチルベンズイミダゾールから2段階を経て配位子前駆体である種々のベンズイミダゾリウム塩を合成した。同様に、市販のN-アルキル置換イミダゾールからも対応するイミダゾリウム塩をそれぞれ調製した。次に、それらのアゾリウム塩をNHC配位子として利用するために、酸化銀と反応させ、NHC-Ag錯体の合成を行った。それぞれのアゾリウム塩からNHC-Ag錯体への変換における反応条件の最適化を行うことで、ほぼ定量的に目的生成物を得ることができた。続いて、AgからPdへの配位子交換反応を利用して、NHC-Pd錯体の合成について検討した。この反応において反応後Ag塩の析出が観測され、それを濾別後、濃縮してNMRを測定することで目的とするNHC-Pd錯体の生成を確認した。合成したNHC-Pd錯体のいくつかはX線結晶構造解析を行い、その結果Pd-Nの結合距離が1.988Aであることが明らかになった。従来、中性のアミン-Pd錯体のPd-N間距離は2.058Aである一方、アニオン性アミド-Pd錯体のそれは2.006Aであることが報告されている。このことから、本研究で合成したPd錯体はアニオン性アミデート-Pd錯体であることが示唆された。
|
Research Products
(12 results)