2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20550110
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大前 仁 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (50300801)
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Keywords | 酵素反応 / 高分子合成 / 生体材料 / 糖鎖 |
Research Abstract |
[モノマー合成・酵素重合反応」([1]及び[2]) 昨年度に引き続き、[1]及び[2]で使用するモノマーの合成を遂行した。[1]では縮合前の単糖ユニット合成が終了し、それぞれをグリコシル化反応により二糖とした。今後、硫酸基を有する二糖モノマーへと誘導する。[2]ではこれまで全く合成が検討されていないヘパラン硫酸のヘパラナーゼ触媒重合による合成について、硫酸基を導入したモノマーの合成が完了した。また、GlcNAc残基の6位にも硫酸基を有するモノマーの合成についてもほぼ最終段階にまで到達した。これらモノマー類は合成が完了したものより順次、酵素重合を行い、生成物の確認・重合反応の最適化を行う。また、新しい試みとして分枝糖を有するGAGオリゴマーの合成を検討した。GAGの中でケラタン硫酸は主鎖のGlcNAc3位にL-フコース(Fuc)を部分的に有し、いわゆる6-0-sulfo-Lewis X三糖鎖機能ドメインを構成している。本年度はこの硫酸化三糖モノマーの合成について、簡便な合成法の確立をほぼ達成し、三糖誘導体の効率合成法として国際誌に投稿中である。 [モノマーの化学-酵素固相合成続き]([3]) GAGのワンポット合成を目指し、固相担体上でのオキサゾリン型モノマーの化学-酵素合成について検討した。昨年度はGlcA-Fモノマー合成で、最終の脱アセチル化・脱メチルエステル化反応において加水分解物と思われる副生成物が大量に生成し、目的物がほとんど得られなかったが、本年度は問題点を見いだし、解決した。具体的にはGlcA誘導体のメチルエステルを脱保護する際にフッ素が脱離することが明らかとなり、このメチルエステルを還元条件で脱保護可能なフェナシルエステルとすることによりフッ素の脱離を伴うことなく目的物を得ることが出来た。今後、合成できたGlcA-Fモノマーを用いて固相合成を行う。
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