2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20550110
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大前 仁 京都大学, 工学研究科, 助教 (50300801)
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Keywords | 酵素触媒重合 / グリコサミノグリカン / 硫酸化多糖 / グリコシダーゼ |
Research Abstract |
[1]のモノマー合成では、アノマー位のMP基の除去反応の際、既に導入していた硫酸基の脱離が起こり、目的とする二糖誘導体が全く得られないことが判明した。従って、硫酸基導入前にMP基の除去を行い、一旦アノマー位をアセチル基で保護し、硫酸基の導入後に改めてアノマー位の脱保護を行うスキームへ変更した。現在、オキサゾリン化前の段階まで合成完了しており、今後はオキサゾリン化、脱保護を行ってモノマーとして重合反応を行うことは容易であろうと推察される。一方、[2]のヘパラン硫酸合成では、合成完了したフッ化糖モノマーを用い、ヘパラナーゼ触媒による重合反応を検討した。ヘパラナーゼの至適pH(5.4)に合わせたPC緩衝液にCH_3CNを混合して反応を行った。反応の追跡にはNMRを用いた。その結果、混合溶媒系でのNMR測定が困難であり、CH_3CN添加系では反応が起こっていないように見られた。一方、PC緩衝液のみの系では効率よくモノマー消費が起こり、設計したモノマーはヘパラナーゼに取り込まれて触媒作用を受けることが明らかとなった。ヘパラナーゼは非共有結合的ヘテロ二量体であり、有機溶媒添加に対する耐性が低いため、CH_3CN添加系では失活し、酵素反応が起こらなかったと推察される。ヘパラナーゼに関しては二量体を不活性な短鎖ペプチドで連結して安定性向上を図る研究がなされており、今後そのような酵素を用いることにより重合反応を成功させることが可能であると思われる。また、6-O-sulfo-LewisXモノマー合成は困難を極め、現在も合成中である。しかし、ケラタナーゼIIを用い、6-O-sulfo-LewisX誘導体を受容体、LacNAc6Sモノマーを供与体とするグリコシル化反応はスムーズに進行し、今後の6-O-sulfo-LewisXモノマーを用いる重合反応の可能性を示した。以上により、硫酸化多糖合成において今後大きな展開が期待される成果を残すことができた。
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