2009 Fiscal Year Annual Research Report
脂質二分子膜による光エネルギー変換機能の高効率化に関する研究
Project/Area Number |
20550119
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村田 滋 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40192447)
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Keywords | 光エネルギー変換 / 脂質二分子膜 / 人工光合成 / 光誘起電子移動 / 光水素発生反応 / 白金分子触媒 |
Research Abstract |
本年度は、前年度までに構築したベシクルを反応場とする光誘起電子輸送反応系を、さらに光合成を模倣した人工的な光エネルギー変換システムへと進化させるために、この系の高機能化に関する研究を積極的に推進した。この反応系を高機能化するためには、光によって発生した正孔と電子を利用する多電子的酸化還元触媒系との連結が必要となる。まず、白金微粒子を触媒とする水の還元反応系との連結を試みたが、微量の水素発生に成功したものの、白金微粒子を保護する界面活性剤とベシクル構成分子との相互作用などにより、良好な反応系を構築することができなかった。このため、触媒系を白金分子触媒に変更し、光吸収部位を連結した新規な白金分子触媒を合成したところ、この分子はベシクルを反応場とする安定な光水素発生反応の触媒として機能することが判明した。また、長鎖アルキル鎖をもつ白金分子触媒をベシクル疎水場に取り込ませることによって、ベシクル内水相の電子供与体から供給される電子を用いた光水素発生反応系を構築することに成功した。この反応系は16時間の光照射において触媒回転数30を示し、比較的良好な触媒反応系であることが確認された。さらに、研究期間を2ヶ月間延長して、ベシクルを反応場とする光水素発生反応系の最適化を行い、最も高い反応効率を示す電子伝達体濃度と触媒濃度を明らかにした。この結果は、緑色植物が営む光合成に近い人工的な光一化学エネルギー変換システムが構築できたことを意味しており、極めて興味深い結果である。これらの結果に加えて、コバルト錯体を触媒とする二酸化炭素光還元反応系の構築にも着手し、ベシクル疎水場に取り込ませることのできるコバルト錯体の合成を行い、その錯体が二酸化炭素光還元反応の触媒機能をもつことを明らかにした。
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