2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20550122
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩松 将一 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (60345866)
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Keywords | 分子認識 / 超分子化学 / ナノ材料 / ナノチューブ・フラーレン |
Research Abstract |
本研究は、開口フラーレン(フラーレン骨格の炭素-炭素結合を化学的に切断して得られる穴のあいたフラーレン)の開口部を起点として、有機合成化学的手法で炭素π共役系を筒状に延伸し、フラーレンキャビティ空間の増築を図るものである。この化学的な増築は、短期的にはフラーレンに収容不可能な化学種の内包実現(例えばアセチレンなどの線状分子包接や、異分子同時包接)を目的とするものである。長期的には、物質変換触媒、特殊反応場としての応用展開を目指すものである。 平成20,21年度の研究では、出発物質とした開口フラーレンに特徴的な開口環上のメチレン水素に着目し、アルキル化反応による分子素子導入法を開発した。生成物の構造を決定するとともに、分子封入・排出特性の初期評価を行い、アルキル置換基の選択により封入・排出の速度論的制御が可能であることを確認した。 最終年度である平成22年度は、上記アルキル化反応で導入した分子素子の連結による筒状化(平成21年度より継続)、ならびに開口部環上に残ったメチン水素の脱水素化によるπ共役系構築を中心に取り組んだが、いずれも目的とした構造変換は実現できなかった。このため新たなアプローチとして、電子不足オレフィン、カルボニル化合物、リンイリド等との反応を検討した結果、新規物質変換反応を発見したものの、いずれも生成物は予想したものではなく、現在解析を行っている。分子封入については、目的とした内部空間の増築が叶わなかったことから、出発物質を用いて異分子封入実験を実施した。現在のところ、二分子包接を示唆するデータは得られていないが、検討の余地(パラメータ)も多く、実験を継続する予定である。
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Research Products
(3 results)