2008 Fiscal Year Annual Research Report
含窒素ヘテロ環金属錯体の特性を活かした新規有機超分子システムの創成
Project/Area Number |
20550125
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川東 利男 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 教授 (40038477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 芳雄 九州大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (00221086)
伊藤 謙之介 九州大学, 高等教育開発推進センター, 助教 (40467874)
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Keywords | ピラジン / ポルフィリン / フラーレン / 分子認識 / 超分子 / 光電子移動システム |
Research Abstract |
本研究は、ピラジンなど窒素芳香環化合物の特性を活かした新規超分子構造体の構築と新機能開発を行うものであり、光エネルギーを情報伝達や化学反応の駆動力として用いる新規機能性物質の開発を目指している。 本年度はまず、当研究室で見出された、2,3,5,6-テトラキス(クロロメチル)ピラジンの非対称化反応について詳細に調べ、3,5-ジメチル-2,6-ジアセタール誘導体の合成法を確立した。こうして比較的容易に合成可能となった新規ピラジン誘導体の2,6位のアセタール部分を官能基変換して、フラーレンを認識する超分子体の合成に着手することができた。まず、酸触媒によるアセタール交換法を開発し、ベンジルアルコールや3,5-ジベンジルオキシベンジルアルコールなどのアセタールへと変換した。フラーレンとの分子認識能について、H-NMR法や蛍光分光法を利用して検討したが、相互作用はほとんど観測されなかった。そこで、フラーレンとの相互作用が報告されているポルフィリン環の導入を検討した。ジピロメタン誘導体を経由する段階的な合成によってピラジンの2,6位にポルフィリン環を有する化合物を得た。そしてフラーレンとの相互作用について検討したところ、C60に対して大きな分子認識が観測された。 一方、合成したピラジン誘導体の金属イオンとの錯体化についても検討し、ジエチルアセタール誘導体についてはパラジウム錯体の合成とX線構造解析に成功した。 これらの成果についてはすでに欧文誌に掲載され高い評価を受けているが、今後のルテニウム錯体をもちいた光電子移動システム開発など、次年度以降の研究推進に大変有益なものである。
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Research Products
(2 results)