2009 Fiscal Year Annual Research Report
含窒素ヘテロ環金属錯体の特性を活かした新規有機超分子システムの創成
Project/Area Number |
20550125
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川東 利男 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 教授 (40038477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 芳雄 九州大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (00221086)
伊藤 謙之介 九州大学, 高等教育開発推進センター, 助教 (40467874)
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Keywords | ピラジン / ポルフィリン / フラーレン / 分子認識 / 超分子 / 光電子移動システム |
Research Abstract |
本研究は、ピラジンなど窒素芳香環化合物の特性を活かした新規超分子構造体の構築と新機能開発を行うものであり、光エネルギーを情報伝達や化学反応の駆動力として用いる新規機能性物質の開発を目指している。 前年度に引き続き、ジピロメタン誘導体を経由する段階的な合成によってピラジンの2,6位にポルフィリン環を有する化合物を合成し、フラーレンとの相互作用について検討した。本年度は特にC70に対する相互作用をNMR分析などにより調べたところ、C60の場合と同様に1:1の会合体を形成することを確認した。その会合定数を求めたところ、C60との会合定数より6倍ほど大きいことがわかった。さらに、本ピラジン誘導体をパラジウム(II)錯体に変換した後、フラーレンの抱接挙動を調べたところ、会合定数が2-4倍に増加することがわかった。この結果は、パラジウムにトランス配位した二つの配位子間に生じる空間にフラーレンが捕捉されていることを示唆しており、今後の研究に有益な情報となった。 ルテニウム錯体の合成についても検討したが、ピラジン誘導体の3,5位に導入されたメチル基の立体障害のために困難であることがわかったので、3,5位無置換のピラジン誘導体の合成およびビピリジン誘導体の合成を検討したが、ピラジン誘導体の合成で用いた方法では合成が困難であった。次年度は、更なる合成法の検討とポルフィリン以外のフラーレン捕捉部位の導入を検討し、ルテニウム錯体をもちいた光電子移動システム開発へと展開する予定である。
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Research Products
(4 results)