2010 Fiscal Year Annual Research Report
含窒素ヘテロ環金属錯体の特性を活かした新規有機超分子システムの創成
Project/Area Number |
20550125
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川東 利男 九州大学, 大学院・理学研究院, 名誉教授 (40038477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 芳雄 九州大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (00221086)
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Keywords | ピラジン / ポルフィリン / フラーレン / 分子認識 / 超分子 / 電子移動システム / ビピリジン |
Research Abstract |
本研究は、ピラジンなど窒素芳香環化合物の特性を活かした新規超分子構造体の構築と新機能開発を行うものであり、光エネルギーを情報伝達や化学反応の駆動力として用いる新規機能性物質の開発を目指している。前年度までに、2,3,5,6-テトラキス(クロロメチル)ピラジンの非対称化法を開発して2,6位にポルフィリン環を有する3,5-ジメチルピラジン誘導体の合成に成功し、そのフラーレンとの相互作用について調べ、良好な結果を得ている。本年度は、捕捉したフラーレンに金属イオンを非共有結合的に結合させるために、まずピラジン誘導体の金属錯体化を検討し、パラジウム(II)錯体の合成に成功した。この錯体はC_<70>をより効果的に捕捉することを見出すことはできたが、光電子移動は観測されなかったので、光励起電子の発生が期待されるルテニウム錯体の合成を検討した。しかし、立体障害のため合成が困難であったので、錯体化における立体障害の軽減を目的としてピラジンを4,4'-ビピリジンに置き換えたものの合成に取り組んだ。その結果、得られたビピリジン誘導体はルテニウム金属錯体へ変換することができ、ESI-MSスペクトル測定により、C_<60>とルテニウム金属イオンが非共有結合的に4,4'-ビピリジンを介して結合した超分子構造体と考えられる分子イオンピークが観測された。このようにして目的の超分子構造体の構築に成功した。これらの研究成果は今後の光電子移動システム開発の研究推進に大変有益な情報をもたらすものである。
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Research Products
(2 results)