2008 Fiscal Year Annual Research Report
アルキル側鎖の自己集合能を利用する固体中のアセン分子の集合状態および色調の制御
Project/Area Number |
20550128
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
北村 千寿 University of Hyogo, 大学院・工学研究科, 准教授 (60295748)
|
Keywords | テトラセン / アルキル鎖 / 固体色 / 自己集合 / 分子配列 / 分子間相互作用 / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
単純なアルキル側鎖を導入することでテトラセン分子の固体状態での光物性を制御することを目標として、本年度は枝分かれ構造を有するイソプロピル、イソブチル、イソペンチルを1,4,7,10位に持つテトラセン分子の合成を行った。原料となる2,5位二置換フランはイソブチルとイソペンチル体の場合は対応するブロモ体から置換反応により容易に得られた。しかし、イソプロピル体では置換反応が進行しなかった。そこで、アセトンを基質に用いる新しいイソプロピル体の導入法を検討した。ジリチオ化したフランとアセトンの反応生成物をパラジウム触媒を用いて水素還元することにより、イソプロピル置換フランを得ることができた。以上の二置換フランを用いて従来から用いている方法で四置換テトラセンの合成を行った。固体の色調はイソプロピル体で黄、イソブチル体で赤、イソペンチル体で橙であった。 今までの直鎖アルキル体とは異なった色の傾向が観察されることがわかった。固体の色調を理解するために単結晶を作成しX線結晶構造解析を行った。その結果、イソプロピル体はテトラセン部位がヘリンボン型のスタックをしていること、イソブチル体はシート構造のスタックから成り立っていること、およびイソブチル体は非常にゆるやかなヘリンボン型のスタックをしていることを見出し、アルキル側鎖が直鎖の場合とは全く異なる分子配列様式となる事実を明らかにした。また、固体の蛍光量子収率はイソプロピル体がこれまで合成したテトラセン誘導体の中で最も高く、イソブチル体、イソペンチル体の順に下がる特徴があることを見つけた。
|
Research Products
(11 results)