2009 Fiscal Year Annual Research Report
アルキル側鎖の自己集合能を利用する固体中のアセン分子の集合状態および色調の制御
Project/Area Number |
20550128
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
北村 千寿 University of Hyogo, 大学院・工学研究科, 准教授 (60295748)
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Keywords | テトラセン / アルキル鎖 / 固体色 / 自己集合 / 分子配列 / 分子間相互作用 / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
アルキル側鎖がテトラセンの1,7位と1,10位にある位置置換異性体混合物を合成し、分離のしやすさや、固体中の分子配列ならびに光物性について調べた。合成直後の段階では混合物中の二種類の異性体の割合がほぼ1:1と考えられる。この混合物はオレンジ色の粉末状であり分子配列の決定を行うことができなかったが、クロモフォアのテトラセン部位がアモルファス状態になっていると予想された。この混合物をジエチルエーテルから再結晶を行うことにより、黄色の析出物と黄色のろ液に分離することができた。黄色のろ液の溶媒留去を行うと黄色粘性固体が得られた。析出物は黄色結晶性固体であった。混合物状態のオレンジ色から黄色へのブルーシフトが観察され、明らかに分子配列に変化が起きたことがわかった。析出物の方のX線結晶構造解析を行った結果、1,7位に置換基をもっテトラセンであった。1,10位に置換基をもつテトラセンは対称心の対称性をもっており、1,10位に置換基をもつ場合の鏡面対称に比べ高い対称性が結晶化をもたらしたと考えられる。ろ液に含まれる1,10位置換体を多く含む成分の結晶化を行いX線結晶構造解析を行うと、1,7位異性体であることが判明し、極微量含まれている1,7位異性体の方が結晶性がよいこと、および、1,10位異性体の結晶化はかなり困難であることがわかった。以上より、アルキル側鎖の置換位置も分子の固体状態での配列、最終的には光物性を制御する重要な因子であることを明らかにした。
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