Research Abstract |
近年,強磁性と強誘電性が電気磁気効果によって強い相関性を示すマルチフェロイクス(多重強的秩序)が金属酸化物において発見され,その現象の新奇性,学術的重要性,新奇の動作原理にもとづく革新的デバイスへの応用の観点から,物理と化学の両分野で非常に注目されている.本研究では,構造キラリティを持つ強磁性強誘電体開発の視点から,一連のキラル一次元ロジウム(I)-セミキノナト錯体を合成し,構造キラリティが磁性と誘電性に及ぼす影響を調べている.これまで,不斉中心を導入したセミキノナト配位子を用いて,新奇に[Rh(3,6-DBSQ-4,5-(2R,4R)-PDO)](CO)2]∞(3,6-DBSQ-4,5-(2R,4R)-PDO=3,6-di-tert-butyl-4,5-(2R,4R)-pentanedioxy-1,2-benzosemiquinonato)の合成に成功した.この化合物は170K付近で一次相転移を起こし,磁気的相互作用は反強磁性(室温相)から強磁性(低温相,Weiss温度+56K)へ変化することを明らかにした.この化合物は,Tf=4.5Kでスピンの凍結を示すと共に,交流磁化率は,4.5K付近と2K以下で二段階の磁気異常を示した.さらに,強誘電体テストシステムを購入し,300-12Kの温度範囲で分極ヒステリシスが測定可能な装置を立ち上げた.
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