2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20550131
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
矢野 陽子 (藤原 陽子) Ritsumeikan University, 総合理工学研究機構, 教授 (70255264)
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Keywords | 超音波霧化 / ナノ液滴 / X線小角散乱 / エタノール |
Research Abstract |
超音波を液体表面に照射すると、音圧により液面が噴水状に盛り上がり、噴水の側面から霧状の液滴が発生する。この現象は「超音波霧化」と呼ばれ、マイクロメータオーダーの液滴を効率的に生成する手法として加湿器などに利用されてきた。ところが最近、研究協力者である超音波醸造所の松浦らは、エタノール水溶液を超音波霧化させるとナノサイズの液滴(ナノ液滴)が発生し、その中にエタノールが濃縮されていることを見出した。この時、霧化所要エネルギーは蒸発熱のたった数分の1であることから、この「超音波霧化分離技術」は従来の蒸留法に代わる可能性を持つ、非加熱・省エネルギーなエタノールの分離精製技術として実用化されようとしている。本研究では、SPring-8の高輝度X線を用いた小角散乱測定によってミストの粒径を測定し、霧化条件との相関を検討することで粒径制御につなげることを目的としている。 平成20年度は母液のエタノール濃度、超音波入力パワー、同伴ガス種を変えて粒径分布を測定したところ、エタノール濃度および超音波入力パワーを上げることがナノ液滴の発生を促進させることに有効であることを見出した。一方、同伴ガスを空気からHeに変えると、マイクロ液滴、ナノ液滴共に数が減少した。このことは、発生した液滴の2次蒸発が起こっていることを示唆する。 以上のことから、超音波霧化分離を促進させるためには「溶液構造」「気液非平衡」「低温での液体微細化エネルギーの供給」が重要であると思われる。
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Research Products
(4 results)