2008 Fiscal Year Annual Research Report
スピンクロスオーバー化合物の光による状態制御方法の研究
Project/Area Number |
20550133
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
西野 正理 National Institute for Materials Science, 計算科学センター, 主任研究員 (80391217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 精二 東京大学, 理学研究科, 教授 (10143372)
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Keywords | 相転移 / 光誘起相転移 / 圧力誘起相転移 / スピンクロスオーバー / エントロピージャンプ / 弾性相互作用 / 非平衡ダイナミクス / 磁性 |
Research Abstract |
近年、外場により物質の状態を制御し、デバイス特性に生かす試みが盛んに行われている。スピンクロスオーバー(SC)化合物は、そのような可能性からも注目されている物質系である。SC現象は、温度、圧力、光などの外場(環境)により、系が磁性(High Spin,HS)状態と非磁性(Low Spin,LS)状態の間で遷移する現象である。この転移現象は、中心磁性金属イオンの電子状態の変化ばかりでなく、分子振動や構造の変化を伴う協力的相転移であることが明らかにされている。従って、協力現象のモデル化は現象の機構を捉える上で重要になる。従来のSC相転移の研究は現象論の枠内であったが、我々はそれを超える研究を推進してきた。分子振動や分子間の弾性相互作用の重要性が指摘されているが、2008年度はそれらを考慮したモデルの構築と、その解析手法の開発を推し進めた。そして、相転移機構の詳細な知見を得た。SC転移はエントロピーの大きな変化を伴うが、この事は、SC系のモデルに分子動力学法(MD)を適用する際の困難の一つであった。この問題を克服するために、MDにおいて付加的なエントロピーの効果を扱える方法を開発し、更に温度と圧力を制御できるように計算アルゴリズムを拡張した。この新しい方法論により、定圧下で体積、およびHS fractionの温度依存性における非自明な振る舞いなどを示すことができた。
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Research Products
(13 results)