2010 Fiscal Year Annual Research Report
スピンクロスオーバー化合物の光による状態制御方法の研究
Project/Area Number |
20550133
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
西野 正理 独立行政法人物質・材料研究機構, 計算科学センター, 主任研究員 (80391217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 精二 東京大学, 理学研究科, 教授 (10143372)
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Keywords | 相転移 / 光誘起相転移 / 圧力誘起相転移 / スピンクロスオーバー / エントロピージャンプ / 弾性相互作用 / 非平衡ダイナミクス / 磁性 |
Research Abstract |
近年、外場により物質の状態を制御し、デバイス特性に生かす試みが盛んに行われている。スピンクロスオーバー(SC)化合物は、そのような可能性からも注目されている物質系である。SC現象は、温度、圧力、光などの外場(環境)により、系が磁性(High Spin, HS)状態と非磁性(Low Spin, LS)状態の間で遷移する現象である。この転移現象は、中心磁性金属イオンの電子状態の変化ばかりでなく、分子振動や構造の変化を伴う協力的相転移であることが明らかにされている。従って、協力現象のモデル化は現象の機構を捉える上で重要になる。SC系などにおいては、ユニット分子の電子状態の変化に伴って分子の体積や構造が変化する。この時、分子間の格子ひずみが起こるが、そのひずみが原因となって弾性相互用が生じ、これが、協力的相互作用となって相転移を引き起こす。この体積変化により生じる弾性相互作用のモデル化で実際にSC転移が起こる事をこれまでに示しているが、この弾性相互作用は、実効的な長距離相互作用を示すために、ドメイン形成や相転移のダイナミクスは、系の境界条件によって全く異なることを新たに見いだした。そして局所的な構造変化からグローバルな構造変化に至る核生成機構の知見を得る事に成功した。この弾性相互作用系は、磁性体などの短距離相互作用系では現れない新しい特徴を持つ事が明らかになった。この結果は結晶の形状が核生成や秩序形成に大きな影響を与える事を示唆している。
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Research Products
(8 results)