2008 Fiscal Year Annual Research Report
希土類-遷移金属酸化物で見られる特異な誘電性に関する研究
Project/Area Number |
20550134
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
吉井 賢資 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (90354985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 直 岡山大学, 理学部, 教授 (00222894)
米田 安宏 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (30343924)
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Keywords | 誘電性 / 電子移動 / 遷移金属 / 酸化物 / 電荷秩序 |
Research Abstract |
本研究課題の対象の一つである、鉄3d電子の秩序化で強誘電体となるRFe_2O_4(R=Y,Ho-Lu)につき、物性の報告されていないHoFe_2O_4などの磁性と誘電性を報告した。イオン半径の大きな希土類イオンの場合には、強誘電相転移温度が高いことを示唆する結果を得た。これは応用的に興味深い結果であり、今後詳細に調べるべきである。また、YFe_2O_4に対する電子線回折実験により、鉄電荷秩序構造が酸素量に敏感に依存して変化することを報告した。また、鉄サイトを銅イオンで置換したLuFeCuO_4の物性と構造を調べた。鉄と銅がRFe_2O_4類似のイオン秩序構造を持って配列することで、室温で100程度の誘電率を発生することを報告した。 さらに、RFe_2O_4の希土類をインジウムに置換した系InFe_2O_4および、その鉄サイト置換系(InFeCuO_4など)の物性や電子構造などを調べ、RFe_2O_4と同じ結晶構造を持つ系の物性が鉄サイトの電子移動に由来することを提案した。これは、通常見られるようにイオン位置の変位で誘電性を発現する系とは異なる。電子移動由来の誘電性は格子との結合が小さいことから、結晶劣化の少ない超寿命素子の開発が出来る可能性がある。鉄サイト置換物質は空気中で簡便に合成できるので、応用的に魅力的であることも提案した。 電子の秩序化に由来すると考えられる誘電性はペロブスカイトマンガン酸化物においても観測し、誘電率測定・放射光測定などの結果を国際会議で口頭発表し、論文印刷中である(Ferroelectrics誌)。
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