2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20550136
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
杉山 輝樹 Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 特任准教授 (80397687)
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Keywords | 光圧 / 連続発振レーザー / 結晶成長 / アミノ酸 / 偏光 / オストワルド熟成 |
Research Abstract |
平成20年度には、集光レーザーの光圧を、生成した結晶近傍に作用させる事により結晶成長が誘起されることを見出した。その際、結晶成長誘起における注目すべき現象として、集光点(1マイクロ程度)の大きさに比べて非常に遠い距離(数十マイクロメートル)にある結晶に対しても、同じく結晶成長が誘起できることを見出した。平成21年度では、より高いレベルでの結晶成長を実現、制御するために、長距離結晶成長誘起のメカニズム解明を主目的として研究を行った。結果と共に以下に示す。 連続発振の近赤外レーザー光を、グリシンの飽和重水溶液薄膜の固液界面に集光した。使用する溶液を飽和条件に調整したのは、結晶成長が停止する場合の系全体が飽和条件になっているからである。レーザー照射直後は、レーザー照射による温度の上昇による表面エネルギの不均一性から液面が下がり、集光点を中心とした超薄膜(数マイクロ程度)が形成された。興味深いことに、その後液面が上昇する現象が観察され、CCDカメラによる直接観測と、液面の高さを測定装置により、高さ数百マイクロメートル、幅ミリメートルサイズの大きなドメインが形成されていることがわかった。また、生成したドメインの反射率測定の結果、ドメインは初期溶液よりも濃度が高く、またレーザーの照射を停止した後も数分程度消失しないことが分かった。以上、レーザーをグリシン重水溶液の固液界面に集光することにより、集光点を中心にミリメートルオーダーで高濃度のドメインが形成されることを見出し、本ドメイン形成が遠距離結晶成長誘起の原因であることが分かった。これらの結果は、集光点と対象結晶までの距離を調整することにより、結晶成長が位置選択的に誘起可能であることを示唆しており、平成22年度本研究の主たる課題とするつもりである。
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