2008 Fiscal Year Annual Research Report
新しい生体機能発見のための量子力学計算によるタンパク質の電子構造の決定
Project/Area Number |
20550146
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
PICHIERRI Fabio Tohoku University, 大学院・理学研究科, 准教授 (40374920)
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Keywords | 計算化学 / タンパク質 |
Research Abstract |
タンパク質は、非常に大きい分子量を持ち、その3次元構造によって大きく特徴付けられる巨大な分子であり、莫大な数の電子が蛋白質にくまなく非局在化してしまうため、そめ電子構造の計算は不可能とされ、これに関する理論計算の研究は長年滞っていた。そこで、本研究では、最新のアルゴリズムおよびソフトウエアを駆使することにより、大きな分子量を持つタンパク質の電子構造の計算を可能にし、今まで未解決であった(a)蛋白質に於ける電子の役割、(b)それらは生物的機能のために重要であるか、という問題を解明することを目的として研究を行なった。本研究は、一連のタンパク質の折りたたみ構造の電子構造について、高精度なX線結晶構造解析により得られた3次元構造に量子力学法を用いた理論化学計算を適用することにより、タンパク質の電子構造を明らかし、そしてこれがどのようにタンパク質の「関数」に影響を与えるかを生物学及び生物物理学的に解明することを目的とする。すなわち、タンパク質の電子構造と生物的プロセス間の相関関係を初めて確立することができるという非常に重要な意味を持つ研究である。 まず線形スケーリングsemiempirical MO量子力学法を活用して100個のタンパク質の電子構造を計算し、計算のターゲットとなるタンパク質を、α-タンパク質、β-タンパク質、α+β-タンパク質、multi-domainタンパク質、膜および細胞の表面タンパク質、小さいタンパク質、coiled-coilタンパク質、ペプチド、および設計されたタンパク質の9つのクラスに分類されたタンパク質から数種類ずつ選び、電子構造の計算を行なった。さらに、各タンパク質の波動関数から、フロンティア軌道関数(HOMO、LUMO)、HOMO-LUMOエネルギーギャップ、双極子モーメント、各アミノ酸残基の電荷、およびタンパク質の全体エネルギーの情報を得た。
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Research Products
(1 results)