2010 Fiscal Year Annual Research Report
クリーンドーピングに基づくポリマー半導体の電子機能の高度化
Project/Area Number |
20550162
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
市川 結 信州大学, 纎維学部, 准教授 (80324242)
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Keywords | 有機トランジスタ / ポリマートランジスタ / ポリチオフェン / 貧溶媒効果 / 電荷移動相互作用 |
Research Abstract |
【目的と計画】ポリマー半導体薄膜は,溶液塗布法により形成され,溶媒は塗布すべきポリマーを溶解させるためだけに使用される。しかし,本研究課題では,ポリマー・溶媒分子間の相互作用に着目し,溶媒を塗布後の乾燥過程で除去可能なドーパントと捉えることを提案している。昨年度,主溶媒に4塩化炭素を用いトリフルオロメチルベンゼン(TFMB)を第2溶媒として添加したとき,添加によって6倍を超える特性向上を得ることができることを明らかにした。4塩化炭素は比誘電率が2.4とほぼ無極であるため,当初想定したアクセプター性のTFMBとP3HTとの電荷移動(CT)相互作用だけが特性向上に寄与したとは考えにくい。そこで,本年度は,以下の2点について検討する。1)沸点,誘電率,P3HTの溶解度が異なる種々の溶媒を主溶媒として用いる検討することでトリフルオロメチルベンゼン添加による特性向上のメカニズムを明らかにする。2)第2溶媒として,電子受容性のない単純炭化水素系物質を用いることで,特性向上における電荷移動相互作用の影響を明らかにする。 【結果】1)テトラヒドロフラン,トルエン,キシレン,4塩化炭素,クロロホルムを第1溶媒に用いてTFMB添加効果を検討した結果,第1溶媒の沸点がTFMBより低いこと,第1溶媒に対するP3HTの溶解度が高いことが重要であることがわかった。沸点の違いから,塗布成膜後の乾燥過程で両溶媒の組成が変化し,貧溶媒であるTFMBによるP3HTの凝集効果が重要であることがわかった。2)TFMBと沸点がほぼ等しいメチルシクロヘキサンを用いた結果,TFMBとP3ETのCT相互作用の寄与が少なからず存在する可能性が示された。上記を学術論文として,Journal of Applied Physicsで発表した。(Web公開:2011年2月)
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Research Products
(2 results)