2008 Fiscal Year Annual Research Report
液晶エラストマーの形状記憶に対する架橋トポロジー効果
Project/Area Number |
20550167
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
平岡 一幸 Tokyo Polytechnic University, 工学部, 教授 (50267530)
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Keywords | 液晶 / 高分子液晶 / 液晶エラストマー / 主鎖型高分子液晶 / 架橋剤 / ゲル / 人工筋肉 / 高分子構造・物性 |
Research Abstract |
異なるクロスリンカー(メソゲン型クロスリンカーとハイドロキノン型クロスリンカー)を用いて2種類の液晶エラストマーを合成し、一軸配向した試料の熱-変形挙動を比較検討した。剛直構造のメソゲン型クロスリンカーで架橋した液晶エラストマーの場合、SmA-SmC相転移においてダイレクターの方向は変化せず層が傾いた。柔軟性なハイドロキノン型クロスリンカーの場合、同相転移で層法線は変化せずメソゲンが傾き、その傾きに応じて層間隔が増減すると伴に液晶エラストマー自体も伸縮した。メソゲン型クロスリンカーを用いた試料では、SmC相の温度域において層の再配列にも関わらず伸縮はほとんど観測されなかった。さらにこれら2種の液晶エラストマーを用いて、等方相-スメクチック相転移における自発的・可逆的な伸縮挙動を検討した。メソゲン型クロスリンカーで架橋した試料は等方相-スメクチック相転移において25%以上伸縮したが、ハイドロキノン型クロスリンカーの場合は5%以下であった。メソゲン型クロスリンカーはメソゲンであると同時にポリマー主鎖として働くため、スメクチック相への転移に際してポリマー主鎖の空間的広がりに異方性を与えたものと考えられる。一方、ハイドロキノン型クロスリンカーは柔軟なため、ポリマー主鎖のコンフォメーションに異方性を付与できなかったと推察した。 液晶性と高分子性が直接カップリングした主鎖型高分子を用いた液晶エラストマー(以下、主鎖型液晶エラストマー)を合成し、熱-変形挙動を検討した。一軸配向した主鎖型液晶エラストマーを室温から等方相へ繰り返し昇降温させたところ、等方相の試料長を1として、等方相-液晶相間で1.5倍程度の可逆的伸縮が確認された。試料長はX線回折像から求めた秩序パラメーターと線形関係にあった。液晶相のX線回折像においてメソゲンの一軸配向にも関わらず層の配向が認められないことから、等方相における熱処理によりサイボタクチック・ネマチック構造が出現したものと推定した。
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