2009 Fiscal Year Annual Research Report
液晶エラストマーの形状記憶に対する架橋トポロジー効果
Project/Area Number |
20550167
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
平岡 一幸 Tokyo Polytechnic University, 工学部, 教授 (50267530)
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Keywords | 液晶 / 高分子液晶 / 液晶エラストマー / 主鎖型高分子液晶 / 架橋剤 / 光学活性分子 / 人工筋肉 / 高分子構造・物性 |
Research Abstract |
平成21年度の主な研究業績は以下の4項目である。 (1)主鎖型スメクチック液晶エラストマーの配向制御とUV架橋:UV架橋により主鎖型液晶を用いたポリマーネットワークの合成に成功した。フイルム化により部分的に一軸配向した試料が得られ、温度変化による自発的・可逆的な形状変化が確認された。また、予備実験においてキラルスメクチックA(SmA^*)相において螺旋変形により傾き角が誘起され、傾き角がキラリティに依存することを見出した。 (2)液晶エラストマーの変形挙動に対するクロスリンカー形状効果:メソゲン型クロスリンカーとハイドロキノン型クロスリンカーを用い2種類の液晶エラストマーを合成し熱-変形挙動を比較・検討した。SmC^*相からSmA相にかけて、前者は層の傾き角が減少しダイレクター方向の試料長も収縮したが、後者はメソゲンの傾き角が減少し層法線方向に試料が伸びた。これら結果は液晶エラストマーの変形をクリスリンカーで制御できることを示している。 (3)SmC^*液晶エラストマーの電界誘起変形:自発分極の発現が期待されるSmC^*相を有する液晶エラストマーを合成し、H20年度購入の高電圧アンプを用いて電界誘起変形を観測した。電傾効果による層法線方向の伸縮が観測され、SmC^*-SmA相転移における同効果のソフト化が確認された。 (4)SmC^*液晶エラストマー液晶エラストマーの応力印加履歴:応力印加履歴の異なる2種類の試料、「せん断応力で一様配向させたSmC^*エラストマー」と「2段階の一軸延伸により一様配向させたSmC^*エラストマー」、を合成し両者の昇降温における変形挙動と分子再配列を比較・検討した。両者とも液晶相から等方相にかけての昇降温で2軸性の形状を記憶しているが変形過程は異なる。せん断変形試料では形状変化を伴うメソゲンの傾き変化が確認された。2段階延伸試料ではスメクチック相内において層の傾きが変化するものの試料形状にほとんど影響なく、等方相-スメクチック相転移で可逆的な形状変化が観察された。
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