2009 Fiscal Year Annual Research Report
可視-近赤外光に応答する水溶性・非会合性フタロシアニン色素の合成
Project/Area Number |
20550170
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
砂金 宏明 National Institute for Materials Science, 光触媒材料センター, 主幹研究員 (40343850)
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Keywords | 有機工業化学 / 機能性色素 |
Research Abstract |
当該課題では、生体の透明領域である700-850nmの光に応答し、かつ水に溶けて水中で分子会合せずに単量体として存在する新規なフタロシアニン(以下Pcと略)色素を合成することを目的としてる。Pcは工業的に重要な青・緑色を示す色素であり、顔料・染料以外にも、近年ではコピー機・レーザープリンタ用光電荷発生体やCDR等の光ディスク用感光色素等の機能性色素としても実用化がなされている。こういう色素を水溶性にできれば、光電荷分離特性を利用した燃料電池用光触媒への応用が可能となり、太陽光と水から安定供給が見込める環境に優しいエネルギー源の獲得に結びつく。また光と色素で増感した活性酸素を癌細胞の破壊に用いるPDT(photodynamic therapy)では、感光色素であるPcを生体内に送り込むために、水溶性であることが要求される。さらに水溶性であれば、インクジェット技術との組み合わせにより多方面への応用が可能になる。 22年度は、21年度に合成した無置換Pcおよびt-ブチル基で置換したPcの五価アンチモン錯体に加えて、新たにn-ブトキシ基置換した水溶性錯体を合成し、これらの錯体の水溶性・会合性に及ぼす添加剤(アルコール、界面活性剤)の影響を調べた。その結果、いずれの錯体もアルコール存在下では水溶性が向上し、会合も解けることを見出した。界面活性剤の効果は置換基によって異なり、t-ブチル置換体では水溶性を向上し、水中での会合も抑制するのに対し、無置換体では水溶性は高めるものの、会合を完全に解くには至らず、n-ブトキシ置換体は界面活性剤共存下でも水に不溶であった。
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Research Products
(8 results)